「ベネズエラ大統領拘束」マーケット心理を揺らす
関口 宗己
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

1987年商品取引会社に入社、市場業務を担当。1996年、シカゴにて商品投資顧問(CTA)のライセンスを取得。
市況サービス担当を経て、1999年より外国為替証拠金取引に携わり、為替ブローキングやIMM(国際通貨先物)市場での取引を経験した。2006年2月にマネーアンドマネー(現・DZHフィナンシャルリサーチ)記者となる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CTMA2)。日本ファイナンシャルプランナー協会AFP。

為替の仕組み

年明け早々、米国による「ベネズエラ大統領拘束」のニュースが金融マーケット参加者の心理を揺さぶりました。ただ、マーケットは一時的に安全資産に資金を移す動きを見せたものの、大きな混乱には至りませんでした。マーケットが何に不安を感じ、どのように落ち着きを取り戻すのかを理解することが大切といえます。



1月3日、米国は南米ベネズエラに対し大規模な軍事作戦を断行し、マドゥロ大統領夫妻を拘束しました。今回の「ベネズエラ大統領拘束」は、マーケット参加者にとっても想定外のニュースでした。

金融マーケットは、良いニュースか悪いニュースである以上に「先が読めない状態」を最も嫌います。そのため、地政学リスクが表面化すると、株式マーケットでは一時的に利益確定売りが出やすくなり、金や国債といった安全資産が買われやすくなります。

今回も金価格が一時上昇。ただ、原油価格は落ち着いた動きにとどまりました。ベネズエラは資源国として知られていますが、現時点の生産量は世界全体から見れば限定的。供給ショックへの警戒は過度に高まりませんでした。

マーケットは「最悪のシナリオ」がどこまで広がるかを探りつつ、慎重に反応する格好となりました。初動の値動きに振り回されず、情報の整理と状況の把握を優先することが大切といえます。



過去の地政学リスクを振り返ると、マーケットは出来事そのものよりも、不透明感に左右され得る傾向があります。軍事行動や政権の強制的な交代が起きる前は、「どう展開するのか分からない」という不安が積み重なります。しかし、状況が一定程度明らかになってくると、マーケットは次のテーマへと関心を移していきます。

今回のベネズエラ情勢でも、短期的にボラティリティが高まりかけたものの、米国企業の業績や世界経済の成長シナリオに直結する影響は限定的と見る向きが多いようです。為替の反応も限定的でした。

年明けの外国為替市場は、取引参加者が限られるなか戻りの鈍い動きだったものの、156円台を維持する一定の底堅さを保ちました(図表参照)。

投資初心者の方にとって大切なのは、こうした局面で感情的に売買しないことでしょう。地政学リスクは定期的に発生しますが、マーケットはそのたびに調整と回復を繰り返してきました。

「ベネズエラ大統領拘束」は、今年最初の試練としてマーケット心理を揺さぶりましたが、長期投資の視点では冷静な判断が求められます。不確実性が整理される過程を見極めることが、安定した投資行動につながると考えられます。


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2026年1月7日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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