テクニカル分析判断 サマリー: ●週後半の速度調整的な反発圧力の高まり目立つも強力な上値抵抗に再度直面(日足) ●再度短期的反発局面に遭遇も […]
Executive Summary
- 2023年は干支で「癸卯(みずのとう)」の年で、別の読み方は「きぼう」。低迷期を経て希望の芽吹きが迎える年との意味があり、その通りとなればドル円も悪い円安からの脱却が期待される。
- ドル円は2023年、120~145円のレンジを予想。基本シナリオとして、①米連邦準備制度理事会(FRB、Fed)の利上げ停止と景気後退リスクの高まり、②日銀の緩和政策修正と円安構造要因の改善、③中国のゼロ・コロナ政策からの脱却――を受け、120円程度の下値余地があると見込む。
- 中長期的なトレンドをみても、ドル円は上昇トレンドに終止符を打ったように見える。政府・日銀による介入もあって8年周期の上昇サイクルに幕を閉じ、今後は一旦下方向をトライするのではないか。
- ただし、米国の物価が高止まりし、政府・日銀のアコード修正が期待以下にとどまり、中国のゼロ・コロナ政策の緩和が段階的にとどまるならば、145円付近まで切り返す展開へ。
- 2023年に入り、米中対立激化が懸念されるが、“政冷経熱”となりうる。米国は“高い塀で狭い庭を囲む(Small Yard High Fence)”との言葉がある通り、安全保障や半導体を含む先端技術などの範囲に限定されよう。両国はそれぞれ貿易相手国(輸出入総額)で1位であり、景気回復を狙う上で互いに協力関係が必要でもある。
2023年の年とは?干支で「癸卯」
2023年は十二支で4番目の「卯(う、うさぎ)年」。卯年は安定や温かさを表すほか、うさぎのように跳ねる」の意味を併せ持つ。また、「卯」という字は、その形が示す通り「門が開いている様子」を連想させるとして、「冬の門が開き、飛び出る」という意味も含むのだとか。そういえば、うさぎの言葉が入った表現に「兎の上り坂」というものがある。うさぎは前足より後ろ足が長く坂道を駆け上がることが得意とされるだけに、持ち前の力を振るい、とんとん拍子に物事が進むという意味をもつ。2022年までにたゆまぬ努力を続けてきた人々にとって、卯年は縁起の良い年になりそうだ。
十干では、最後10番目の「癸(みずのと)」にあたる。癸は生命の終わりと共に、次の新たな命の成長の始まることを指す。中国の陰陽五行思想を基に十干と十二支を組み合わせた干支は、「癸卯(みずのとう)」にあたる。世界は、2020年の初めからコロナ禍という未曽有の危機に陥った後、2022年になって漸く正常化が進んだ。2023年の年を表す「癸卯」の別の読み方に「きぼう」がある通り、2023年はそれまでの低迷期に終わりを告げ、希望が花開く年として期待されよう。
では、過去「癸卯」の年に何があったのか、振り返ってみよう。60年前の1963年と言えば、日本で「鉄腕アトム」の放映が開始された。東京五輪まであと1年を控え、戦後に生きる日本人が未来へ向け夢を膨らませた年だったのではないだろうか?また、東海道新幹線のモデル線で世界初の時速256㎞を達成、翌年に東海道新幹線が開通する礎が築かれた。一方で、同年11月には、ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されたように、ひとつの時代の終焉がもたらされたと同時に、1974年のニクソン大統領誕生とニクソン・ショックにつながる年でもあった。
その前の1903年には米国でフォード・モーターが設立されたほか、ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功するなど、人類の進化へ向けた布石が打たれた年だった。日本にとってはアジア日露戦争が開戦前の年にあたり、歴史が示す通り勝利を収めた日本は列強に国際的地位の向上を果たすことになる。
このように、癸卯の年は新たな時代の幕開けを予感させる出来事が多いことが分かる。新しい年が、皆様にとってさらに幸多いものとなりますように。
2022年のドル円急落とその背景から、来年を占う―2023年レンジは120~145円
ドル円は2022年、115円付近でスタートし10月21日には一時151.94円と30%以上も急騰した。1年以内にこれほど急激なドル高・円安が進んだのは、プラザ合意が成立した1985年9月以降で初めて。当時は、合意直前の240円付近から1986年8月の153円まで1年以内に37%も急落したが、今回、パーセンテージでいえば同程度ながら逆の展開を迎えたわけだ。なお、プラザ合意直前の水準から2011年10月につけた安値のちょうど半値戻しは158円付近で、投資格言に「半値戻しは全値戻し」とあるが、そうなるリスクは回避した。
1985年以降のドル円の年間リターンの平均は0.7%安であることを振り返っても、2022年のドル円上昇率30%超えがいかに異常だったかが見て取れよう。年間で2桁の上昇率を記録したのは、量的・質的金融緩和(別名:異次元緩和)の導入を挟んだ2013~14年以来となる。
2022年にドル円がこれだけ急変動した背景としては、以下の要因が挙げられる。
ドル円が上昇した背景 |
ロシアによるウクライナ侵攻(エネルギーと食料の輸入依存国通貨の下落) |
米国を始めとした世界各国中央銀行による積極的な利上げ |
日銀の緩和策維持 |
中国のゼロ・コロナ政策堅持 |
2023年のドル円は、これらの要因がどのように変化するかで決定されよう。筆者は、ドル円は2023年に120~145円のレンジで推移すると予想する。前述した2022年のドル円の押し上げ要因のうち、①のロシアによるウクライナ侵攻は収束する気配がみられない半面、②の米国を始めとした世界各国中央銀行による利上げは、ピークの段階に入ってきた。③については、12月17日に報じられたように、2013年1月に当時の安倍首相と白川総裁の間で締結された“政府・日銀アコード”が修正される見通しが強まる上、その証左として12月には日銀が長期金利の上限幅を修正した。④について、中国政府は段階的且つ慎重にゼロ・コロナ政策からの脱却を図りつつある。以上を勘案すれば、ドル円が2022年のような急上昇を続けるとは想定しづらい。イベント毎に上下に振らされる局面を迎えつつ、ドル円は一時120円付近まで戻す余地がありそうだ。「癸卯」という希望の年に、悪い円安から脱却し正常化が期待される。1980年以降のドル円と米10年債利回りの推移を比較しても、ドル円の150円超え局面では米10年債利回り5%以上となる傾向がある。足元、インフレ急加速が止まり米10年債利回りも10月につけた4.2%付近でピークアウトするならば、ドル円も同様に元のレンジに戻しそうだ。
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