【完全版】Weekly Report (2/27):   「ドル円は堅調推移ながら、来週のイベントを控えもみ合いに」
マーケット分析
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Executive Summary

  • 2月20~24日週のドル円の変動幅は2円60銭と、その前の週の4円1銭から値幅を縮小したが、ドル円は一時136.52円と22年12月以来の高値をつけた。米10年債利回りが約3カ月ぶりの4%乗せを伺う展開となった動きにつれた格好。
  • また、植田日銀総裁候補や内田日銀副総裁候補が2月24日、衆院での所信聴取で現時点での緩和策が適当と発言したほか、政府・日銀の共同声明の修正に急いでいない姿勢を打ち出すなか、ドル円は134円台での乱高下を経て、上値を拡大。米1月個人消費支出(PCE)やPCE価格指数の上振れがドル円の上昇に拍車を掛けた。
  • ドル円は今週も、堅調な推移を続ける見通しだが、もみ合いとなりそうだ。1週間の上昇幅が、足元で徐々に縮小している点に留意したい。また、翌3月6日週にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による半期に一度の議会証言に加え、黒田総裁最後の日銀金融政策決定会合、米2月雇用統計を控えるだけに、今週は動意に乏しくなることも考えられる。
  • バンク・オブ・アメリカ(BofA)が2月に行ったファンド・マネージャー調査によれば、最も人気の投資は「中国株ロング(中国株の買い持ち)」で21%と、1月まで過去7カ月連続で首位だった「ドル・ロング(米ドルの買い持ち)は14%で3位に陥落した。2022年当時のように積極的な利上げが継続するとは想定しがたく、何より現状は堅調な米景気が利上げの継続で腰折れするリスクもあり、2022年のような“ドル一強”となるリスクは現時点で低いと言えそうだ。

今週の為替相場の振り返り=米PCE価格指数の上振れで、ドル円は136円乗せ

【2/20-2/24 のドル円レンジ:133.92~136.52円】
・ドル円は2月20日~2月24日週の値幅は2円60銭となり、その前の週の4円1銭から縮小しつつもドル高・円安が加速した。
・2月20日は米国がプレジデンツ・デーを受けて休場のなか小動きだったが、2月21日に米10年債利回りが3.95%を超え約3カ月ぶりの水準へ上昇する過程で、ドル円もつれ高となった。22~23日に135円を挟んだもみ合いを迎えた。

・2月24日は、衆院で日銀正副総裁候補の所信聴取を受け荒い値動きを迎えた。植田日銀総裁候補の発言は「現状の緩和政策は適切」、「2月のデータから物価は減速に向かう」、「共同声明の2%早期達成、表現を当面変える必要はない」と一部ハト派寄りだったが、「基調的な物価2%が見通せれば、政策正常化に踏み出すことが出来る」などタカ派寄りの見方も表明、バランスの取れた内容となった。その過程で、ドル円は134.90円台→134円ちょうど→134.90円台と、134円台で乱高下した。

・内田日銀副総裁と氷見野日銀副総裁の聴取後、ドル円は上値を広げる展開。NY時間に米1月個人消費支出(PCE)、PCE価格指数が市場予想を上回る結果となったため、約2カ月ぶりに136円台を突破。米2月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値の上方修正や、市場予想を上回る米1月新築住宅販売件数を受け、一時136.52円まで切り上げ、高値圏で取引を終えた。

チャート:ドル円の日足チャート、2月24日に大幅高を迎え一時136.52円と約2カ月ぶりの高値(白い枠が2月20日週の動き)

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(出所:Tradingview)

主な要人発言

・Fed高官からは、堅調な米景気動向を示した米1月小売売上高などの指標結果の流れを受け継ぎ、利上げ継続の必要性を説く発言が優勢だった。欧州中央銀行(ECB)からは、仏中銀総裁など今後の利上げに慎重な見解が確認された一方で、独連銀総裁やフィンランド中銀総裁など利上げ継続を表明するコメントも聞かれた。日本からは黒田日銀総裁を始め、植田日銀総裁候補の発言を確認するなかで、現状の緩和策が適切との見解が伝わった。

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