フォワード取引の価格(フォワードレート)は、スポット取引の価格(スポットレート)と異なります。両社の大きな違いは取引の実行日で、スポット取引 […]
こちらでご紹介した輸出企業の6か月先物予約の例をもとにスワップ取引から生ずるドルと円の金利差が、どのように取引レートに反映していくのか説明します。輸出企業は6か月のドルの買って売り、円の売って買いを行うということは、6か月間ドルを借りて円を貸すキャシュフローとなります。
6か月のドル借入金利を仮に3.5%とし、円の貸出金利を0.1%としましょう。百万ドルの輸出企業のドル売り為替予約を行います。為替レートは仮に140円とします。すると、翌々営業日に決済するスポット取引では輸出企業なのでドル売りですが、6か月先に予約を延ばすためにスワップ取引を追加で行います。スワップ取引では翌々営業日はドル買いを行い、6か月先にドル売りを行います。
上表にある様に、ドルの借入利息は$17,500-で円に換算(140円で計算)すると2,450,000円となり、円の貸出利息は70,000円となり、差し引き2,380,000円の借入超となります。
6か月先のドル貨は元本でその数量に対し利息分を増減して調整することができないので、対価の円でその借入超を調整します。6か月先のドル売り円買いの「円買いの数量」が金利差分である2,380,000円減額され、6か月先の円貨が137,620,000円となります。6か月先のドル売り$1,000,000の対価である円貨が137,620,000円となり、レートを換算(円貨÷ドル貨)するとレートは137円62銭となり、スポット取引レートの140円00銭から2円38銭ディスカウントされています。この-2円38銭が6か月物のドル買って売りのスワップレートとなります。輸出企業の場合、決済日を先にすればするほど、現状ではドルと円の金利差を支払うこととなり、スポット取引レートより不利なレートとなります。
*ドル借入利息の計算式=$1,000,000×0.035(3.5%)÷360(1年360日で計算)×180(6か月日数)=$17,500 ←140円で円に換算=$17,500×140円=¥2,450,000
*円貸出利息の計算=¥140,000,000×0.001(0.1%)÷360(1年360日で計算)×180(6か月日数)=¥70,000
それでは、輸入企業の場合はどうなるでしょうか。輸入企業は輸出企業と反対のキャッシュフローとなります。前項で説明したように輸入企業は6か月のドルの売って買い、円の買って売りを行うということは、6か月間円を借りてドルを貸しているキャッシュフローとなります。
わかりやすくするために、輸出企業と金利の条件は変えず、6か月のドル貸出金利を3.0%とし、円の借入金利を0.2%とします。百万ドルで輸入企業のドル買い先物予約を行います。為替レートは同じ140円とします。翌々営業日決済のスポット取引では輸入企業なのでドル買いですが、6か月先に予約を延ばすためにスワップ取引を追加で行います。スワップ取引では翌々営業日はドル売りを行い6か月先にドル買いを行います。
上表にある様に、ドルの貸出利息は$17,500-で円に換算(140円で計算)すると2,100,000円となり、円の借入利息は140,000円となり、差し引き1,960,000円の利息取得超となります。6か月先のドル貨は元本でその数量に対し利息分を増減して調整することができないので、対価の円でその利息取得超分を調整します。6か月先のドル買い円売りの「円売りの数量」が金利差分である1,960,000円減額し、6か月先の円貨が138,040,000円となります。6か月先のドル買い$1,000,000の対価である円貨が138,040,000円となり、レートを換算(円貨÷ドル貨)するとレートは138円04銭となり、スポット取引レートの140円00銭から1円96銭ディスカウントされます。この-1円96銭が6か月物のドル売って買いのスワップレートとなります。輸入企業の場合は決済日を先にすればするほど、現状ではドルと円の金利差を得ることができ、スポット取引レートより有利なレートとなります。
*ドル貸出利息の計算式=$1,000,000×0.035(3.5%)÷360(1年360日で計算)×180(6か月日数)=$17,500 ←140円で円に換算=$17,500×140円=¥2,450,000
*円借入利息の計算=¥140,000,000×0.001(0.1%)÷360(1年360日で計算)×180(6か月日数)=¥70,000
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