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ユーロ(EUR)はドルに次ぐ世界第2位の国際通貨であり、取引高も世界第2位であります。欧州連合(EU)加盟27カ国のうち19カ国がユーロを公式に導入しています。クロアチアは2023年初に20カ国目のユーロ採用国となる予定です。
ユーロの歴史
1972年には欧州為替相場同盟を、1979年には欧州通貨制度を創設されました。欧州通貨制度は各国の通貨の相場が大きく変動することを防ぐものとなりました。またあわせて欧州通貨単位が導入され、のちのユーロの基礎となります。
1990年7月1日、通貨統合の第1段階に入り、欧州経済共同体の加盟国の間で資本の自由な移動が可能となりました。1994年1月1日になると第2段階に移行し、欧州中央銀行(ECB)の前身である欧州通貨機構が設立され、加盟国の財政状況を検査するようになりました。1995年12月16日、マドリードで開かれた欧州理事会の会合において新通貨の名称を「ユーロ」とすることが決められました。
1999年1月1日に、従来の欧州通貨単位(ECU)の1:1(1.1743ドル)比率での置き換えとして、国際金融市場に会計通貨として導入されました。ユーロ硬貨と紙幣は2002年1月1日に流通開始され、ユーロは当初の参加国の日常業務通貨となり、2002年3月までに旧通貨から完全に置き換えられました。
欧州中央銀行(ECB)
ユーロにかかわる政策を担うECBは1998年6月1日に設立されました。ECBは物価安定の確保に努め、また加盟国の経済政策を支えるという使命を持っています。このほかにも金融政策の決定と実施、加盟国の公的外貨準備の管理、外国為替市場への為替介入、市場への資金供給、円滑な決済の促進を担っています。
欧州中央銀行の独立性を維持するために、欧州中央銀行および各国の中央銀行は加盟国政府の指示を受け入れることが禁止されています。
ECBは各国の中央銀行とともに欧州中央銀行制度を作っています。ECBの政策決定は、ECBの役員会とユーロ圏各国の中央銀行総裁で構成される政策理事会が担当します。ECB役員会は総裁、副総裁、理事4人で構成され、いずれも任期は8年でユーロ圏各国が選任し、再任は認められていません。
欧州連合(EU)加盟国
ユーロを通貨として導入していないすべてのEU加盟国は欧州連合条約により、収斂基準を満たして単一通貨を導入することが義務づけられています。ユーロ導入にあたって求められる収斂基準の4つの要素の1つとして、2年間は現行通貨を欧州為替相場メカニズムに組み込まなければなりません。
ただし、デンマークについては適用除外規定が定められており、現行通貨を維持するということが認められています。
補完通貨としてのユーロ
ユーロ圏外でも多くのヨーロッパの国で、ユーロでの支払いが可能です。ただし、その多くの場合は販売者が独自に決めた交換比率が用いられています。また、いくつかの国ではユーロと自国通貨をペッグしている国があります。
ユーロドルの動き
1999年1月1日に、従来の欧州通貨単位(ECU)の1:1(1.1743ドル)比率での置き換えしたユーロは対ドルで下落し、2000年10月には0.83ドル台まで下落しました。この時、ユーロ採用各国の通貨はユーロに対し固定為替レートが設定されており、いくつかの通貨においては、2002年に物理的なユーロが導入される前に価値が下がり、ユーロ自体の価値の低下を招きました。
物理的なユーロが2002年に導入され、各国の決定通貨は次第に使われなくなります。単一通貨の恩恵はすぐに目に見える形で現れ、為替変動のリスクがないという利点があり、2002年から2007年の間にユーロ圏のGDPが伸び、 ユーロドルは人気が増し、価格が上昇しました。
2008年から2014年にかけて経済危機が起こりました。まず米国が危機に陥り、続いてユーロ圏に波及し、ユーロドルは2008年7月の1.60ドル台をピークに下落しました。ギリシャの政治不安、ウクライナに広がる懸念などもユーロドルの下落を後押しました。
2016年6月に英国がEU残留・離脱を問う国民投票を行い、離脱が支持されたことでEUとユーロの先行きに対する懸念が広がり、2017年1月に1.03ドル台まで下落しました。
その後は買い戻しが入るも2018年2月1.25ドル台をピークに売りに押され、最近はコロナ拡大の影響やその対策、ロシアのウクライナ侵攻や米金融政策の積極的な引き締めを背景としたドル独歩高などにより、パリティ(1ユーロ=1ドル)割れまでドル高・ユーロ安が進んでいます。
この記事は、2022年10月19日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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