こちらでご紹介した輸出企業の6か月先物予約の例をもとにスワップ取引から生ずるドルと円の金利差が、どのように取引レートに反映していくのか説明し […]
海外との取引で、ドル(外貨)の支払い(輸入)または受取り(輸出)を行う場合に、相場の変動による損益リスクを低減するため、スポット、フォワード、オプションなど金融商品を利用することができます。このような金融商品を利用することで、将来の両替(ドルと円の交換)を、今後の相場の動きによらず予め決めた価格で行うことや、事前に手数料を支払うことで、自社に不利な相場の変動が起こった場合、損失の一定割合を補てんすることなどが可能です。
今回は、将来の両替を行うスポット(直物、じきもの)予約、フォワード(先物、さきもの)予約について説明します。「予約」とは、取引成立後、成立した取引レートで決済される予定の取引を指します。
目次
スポット(直物)取引(2営業日後の両替)
スポット取引は、翌々営業日(土日、祝祭日を除く)に決済(両替)する取引です。例えば、9月26日(月)にA銀行を相手として、1ドル140.00円のレート(=価格)で10,000ドルを買うスポット予約を行った場合、2営業日後の9月28日(水)に1,400,000円(140.00 x 10,000 =1,400,000)をA銀行に支払い、10,000ドルを受取ります。
スポット取引で、翌々営業日に決済する価格をスポットレートと呼びます。
スポット取引の例(輸入企業)
現在の外国為替取引の大部分がスポット取引で、一般に報道・ニュース・FX取引画面などで表示される取引レートは、このスポットレートです。
フォワード(先物)取引(3営業日以降の両替)
フォワード取引は、翌々営業日以降(土日、祝祭日を除く)に決済(両替)する取引です。例えば、9月28日(水)にA銀行を相手として、6ヶ月先に1ドル138.04円のレート(=価格)で10,000ドルを買うフォワード予約を行った場合、6ヶ月後の2023年3月31日(金)に1,380,400円(138.04 x 10,000 =1,380,400)をA銀行に支払い、10,000ドルを受取ります。
フォワード取引で決済する価格をフォワードレートと呼びます。フォワードレートは決済日と、決済する通貨間の金利差(ドル円の金利差)により計算されます。フォワードレートの計算は、こちら(別記事へのリンク)で説明します。
フォワード取引の例(輸入企業)
フォワードレートは、スポットレートと大きく異なることがあります。このレートの違いについて以下の項目で説明します。
フォワード取引の仕組み(スポット取引+スワップ取引)
フォワード取引は、金融機関(銀行、または証券会社)がスポット取引とスワップ取引を組合せて組成します。前出の「フォワード取引の例」で説明した6ヶ月のフォワード取引は、スポット取引と6ヶ月のスワップ取引を組合せることで実現しています。
フォワード取引の仕組み(輸入企業の場合)
このように、スポット取引にスワップ取引を組合せることで、フォワード取引(6ヶ月先の両替取引)を実現できました。スワップ取引を組合せることにより、スポットレートとフォワードレートに差が発生します。以下の項目で、フォワードレートについて説明します。
フォワードレート(スポット取引+スワップ取引)
フォワード取引は、スポット取引とスワップ取引の組合せで実現します。つまり、フォワードレート(フォワード取引のコスト)は、スポットレート(スポット取引のコスト)にスワップ取引のコストを加えたものになります。
または、6ヶ月のスワップ取引から6ヶ月のフォワードレートを計算することが出来るので、このレートでフォワード取引を行うと説明することができます。
上記の輸入企業の例の、スワップ取引によるキャッシュフローを計算します。ここでは、6ヶ月のドルの貸出し金利を3.0%、円の買入れ金利を0.2%とします。
計算の結果、6ヶ月後の両替レートが138.04円であることがわかるので、これを6ヶ月のフォワードレートとすることができます。
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