「この後の6月の重要スケジュールを知らずにやってはいけない」
松井 隆
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

大学卒業後、1989年英系銀行入行。入行とともに為替資金部(ディーリングルーム)に配属。以後2012年まで、米系、英系銀行で20年以上にわたりインターバンクのスポット・ディーラーとして為替マーケットを担当。ロンドン本店、アムステルダム、シンガポール、香港の各支店でもスポット・ディーラーとして活躍する。銀行退職後は本邦総研、FX会社のコンサルティング、ビットコインのトレーディング等多岐にわたる事業に従事する。



第2次トランプ政権が始まってから、まだ5カ月しか経過していません。

しかし、トランプ関税の影響もあり、多くの国がトランプ政権との交渉を行っていることで、毎日様々な政治的スケジュールがあります。

毎日が重要なイベントがある、イベントデーとも言えます。

先週5日から8日まで関税交渉を担当する、赤沢経済再生相は再びワシントンDCを訪れましたが、これで日米交渉はなんと5回目になります。

3週間連続の訪米ということもあり、いちいち帰国する必要が無いのではないかとの声もあるほどです。



6月中旬以後も様々なイベントが予定されています。

最初に注目されるのが、カナダのカナナスキスで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)です。

日程は15日から17日に予定されています。

G7以外でも、ウクライナも参加するとの話もありますが、定かではありません。

ウクライナが参加することになれば、ここ最近はロシアとの交渉が進まないトランプ米大統領がウクライナや欧州各国とどのような戦争の解決策を講じるかが俄然注目されます。

そして、それよりも為替市場に影響を及ぼすのは、関税に関する交渉になるでしょう。

G7での共同声明で何かが起こる可能性もありますが、日本の場合は日米首脳会談がより重要になると思われます。

一部報道では、石破首相がサミット直前に訪米し、トランプ米大統領と会談を持つとの話も出ています。

ここで関税に関する合意ができるのかが注目されますが、仮に合意に至らない場合でも、まだ先に6月は日米首脳会談の可能性があります。

その可能性になるのが、24日から27日に行われる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議です。

オランダのハーグで開催されますが、日本はインド太平洋地域のパートナー国として参加する予定です。

G7サミットで合意ができない場合は、ここで話し合いが持たれるとも言われています。

ただ、このNATOも一筋縄ではいかないでしょう。

開催国のオランダでは極右政党のウィルダース自由党(PVV)党首は正式に連立離脱を表明しています。

ウクライナをめぐり再びここでも解決策が出るとは思えず、石破首相が期待するような日米首脳会談ができるかは未知数です。

このように、今月もまだまだイベントが盛りだくさんです。

ポジションを持っている場合は、日程、時間などを確かめてもたないでやってはいけないでしょう。

気が付いたら大相場になっている可能性もあります。

なお、7月はさらにイベントが多く、日本では7月上旬には参議院選挙があります。

また、米国では下院で可決された「大きく美しい法案(big, beautiful bill)」を休会明けの2日に協議が始まり、独立記念日の4日までに可決を目指しています。

そして9日にはトランプ政権が停止していた相互関税の発動期限になっています。


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2024年6月9日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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