―Executive Summary― 目次1.為替相場の振り返り=日銀金融政策決定会合後に160円突破も、介入観測やハト派寄りの5月FOM […]
2024年3月15日時事通信社が「日銀、マイナス金利解除で最終調整 高水準の賃上げ確認」と題した記事を発表しました。翌日には日本経済新聞もマイナス金利解除の見出しで記事を出しています。
マイナス金利解除になった場合、物価や景気そして株価にはどのような影響が生じるのでしょうか?
今回はマイナス金利解除について、金利と物価・景気・株価の関係を解説していきます。
※記事の内容は2024年3月17日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。
3月18~19日にマイナス金利が解除、YCCが撤廃?
マイナス金利とは、金融機関が日本銀行の当座預金に預けているお金の一部に▲0.1%のマイナス金利を適用する制度です。2016年に日本銀行の黒田総裁(当時)が、量的・質的金融緩和政策の一環として導入しました。
マイナス金利が適用されたのは、日本銀行当座預金のうち基礎残高とマクロ加算残高に該当しない「部分政策金利残高」です。マイナス金利に加えて、長期金利の代表的な指標である10 年国債の利回りが0%程度で推移するように、長期国債の買い入れを行う政策(イールドカーブ・コントロール)も実施しました。
日本銀行の目的は、上記2つの金融緩和政策によって銀行の貸出額が増え(=経済全体の需要が増え)年2%のインフレ(物価が上昇し、貨幣価値が下がる)を実現することです。
今回のマイナス金利解除の理由も、2024年3月に連合が公表した春闘の回答集計で高水準の賃上げを確認したことにより2%の物価上昇を見込めることと報道されています。
マイナス金利解除と同時に、イールドカーブ・コントロール(YCC)も撤廃する見通しです。
ただし、日本経済新聞でマイナス金利政策の解除後も一定の国債買い入れを続ける方針であることが報道されています。
3月18~19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策とYCCを解除する見込みと複数のメディアで報道があります。
実現すると、日本銀行が政策金利を引き上げるのは2007年以来で17年ぶりの利上げとなります。
マイナス金利が解除されると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?
マイナス金利解除で今後の物価、景気はどうなる?
マイナス金利は、量的・質的金融緩和政策の1つとして実施されました。
マイナス金利解除は、日本銀行の本来の目的である年2%の物価上昇を見込み金利を正常化することを意味します。
なぜ今回金利を上げるのでしょうか?
金利は主に金銭の需要と供給によって決まるものとされており、お金を借りたい人が多いと金利は上がり、少なくなると金利が下がります。
物価上昇の場面でもモノの値段が上がることで需要が増えますので、資金の需要も増大し金利も上昇する傾向にあります。今回のマイナス金利解除は、物価上昇が大きな影響を及ぼしているでしょう。
2023年は前年と比べ平均3.2%、物価(総合指数)が上昇しました。
出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年12月分及び2023年平均」
物価が上昇すると、お金よりモノの価値が上がりますので相対的に貨幣の価値は下がります。
消費者の購買意欲は高まり、資金の需要も高まりますが貯蓄など資金の供給は減ります。
今のようなインフレの状況では、一般的に金融政策は引き締め、つまり金利上昇に舵を取ることが多いです。
一般的な景気と金利、株価の関係を見てみましょう。
筆者作成
一般的に「好景気」といわれている時には、消費者の購買意欲が増し消費が拡大します。
2022年10月に新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅に緩和され、旅行の需要が増加しました。外国人旅行者も増え、インバウンドが回復・拡大傾向にあります。
個人消費が増大すると、企業は商品を多く生産します。商品を生産する機械など設備投資を拡大する会社が多くなり、一般的には資金需要が高まるといわれています。
金利が上がると株価は下がる?
金利が上がると、借入金が多い企業は支払う利息が増えます。また、資金力の弱い中小企業は、設備投資を減らす会社が多くなるでしょう。
よって中小企業を中心に、株価が下落する恐れがあります。
ただしこれらはあくまで一般論で、現在は急激な物価上昇に加え賃上げを控えていることから、金利を正常化するという局面です。
日本銀行が上手く政策転換をすることで、株価は下落せず安定的な好景気が続く可能性があります。
株価が上がっている背景には、新NISAの影響もありますので今後高めに推移するかもしれません。
まとめ
マイナス金利解除とYCC撤廃、金利と景気・株価などの関係について解説してきました。
この記事で金利と株価や景気の関係を知り、今後に活かしていきましょう。
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