テクニカル分析判断 サマリー: ●3/8からの下落により、(速度調整的な)反発圧力の高まり目立つも強力な上値抵抗に直面(日足) ●前4週の下 […]
ドル円、34年ぶりの高値160.17円に接近
ドル円は4月29日に160.17円と1990年4月以来34年ぶりの高値まで急伸しましたが、そのあとは政府・日銀による為替介入とみられる動きで5月3日には151.86円まで一転下落しています。ただ、そのあとは再びじり高の展開となり、昨日21日には159.84円まで上昇し、介入前の水準まで値を戻しています。
政府・日銀による介入とみられる円買いの動きは4月29日の午後と1日のFOMC後である日本時間2日の早朝の2回。介入額は過去最大の9.8兆円となっていますが、その効果が完全に打ち消された格好となりました。
*Trading Viewより
ドルは強く、円は弱く
先週発表された5月米消費者物価指数(CPI)と5月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、米長期金利の指標となる米10年債利回りは低下傾向が続いています。4月25日には4.73%まで上昇しましたが、そのあとはじりじりと低下し6月14日には4.18%まで下げています。
*Trading Viewより
米長期金利は低下傾向にありながらも、為替市場で「ドルの強さ」が目立っています。ドル買いのきっかけは「欧州で広がる利下げ」。スイス国立銀行(SNB)は今週20日、2会合連続で政策金利を引き下げると発表。また、英中銀(BOE)は市場予想通り政策金利の据え置きを決定しましたが、8月の利下げ開始を見通す声が強まりました。また、欧州中央銀行(ECB)は今月6日に0.25%の利下げを決めましたが、「7月も利下げに動く」と予想する声が浮上しており、対欧州通貨でのドル買いにつながっています。
*Trading Viewより
また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標である2%に落ち着くまでは1、2年かかる可能性がある」と発言するなど、今週も複数のFRB高官から「利下げに慎重な姿勢」が示されています。市場関係者からは「FRBが年内に金利を引き下げる可能性は低い」との声も聞かれています。
半面、円は弱さが目立ちました。ユーロ円は昨日まで5日続伸し、一時170.91円と4月29日以来の高値を更新しています。また、ポンド円は202.08円と2008年8月以来の高値を付けたほか、豪ドル円は106.17円と07年11月以来の高値、NZドル円は97.83円と1986年6月以来の高値を記録しています。
米財務省は今週20日、半期ごとに公表する外国為替政策報告書で、日本を「監視リスト」に追加したと発表。市場では「政府・日銀による為替介入が困難になった」との思惑が高まり、円売りが出やすい地合い。さらに、円安進行のペースは1日に数円動くような過度な変動ではなく「じり安」に変わってきています。心理的節目160円が目前となっていますが、水準で介入に踏み切ることは難しいと言わざるを得ません。
ドル円の一目均衡表チャート
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(159.80円)で雲の上限155.59円を上回っています。また、転換線157.78円や基準線157.20円も大きく上回っており、テクニカル的にも上サイドへの期待が高まります。
*Trading Viewより
ドル円は7営業日続伸し、週末の終値(159.80円)でも160円に迫っています。4月29日に付けた34年ぶり高値160.17円までもう間もなくの水準となっており、政府・日銀による為替介入への警戒もありますが、「『警戒』より『期待』の側面が強い」との声が聞かれる中、「監視リスト」に追加されたばかりとあっては「介入は困難」と言えるでしょう。「行き過ぎた」動きや「投機的」な動き、「ファンダメンタルズから逸脱した」動きがあるようにも見えません。
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※本記事は2024年6月22日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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