ランド円、上昇トレンドは本物か
岩間 大祐
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。

外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。

国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

マーケット分析

今回解説していく通貨は南アフリカ・ランド円です。日本・南アフリカ両国はともに今年最初の会合で金融政策の据え置きを決定。ただ、日銀当局者から政策正常化後も緩和的な状態を維持する方針が示されるなか、足もとの為替相場では全般に円売りが進み、ランド円も含めたクロス円は堅調推移が続いています。今後も金融政策の行方が注目されますが、チャート上でもランド円の状況を確認していきましょう。

ランド円の週足分析

下図のチャートはランド円の週足チャートになります。前回の分析(12月20日)からどのように推移したかを見ていきますと、昨年5月安値を始点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)をブレイクしたものの、その後も売りの勢いは加速することなく、足もとでは再び8.00円前後まで切り返してきました。

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チャート下部に追加した「MACD」は今月に入ってプラス圏に浮上(買いシグナルが点灯)したほか、「DMI」でも+DI>-DIとなっており、現在が上昇トレンドであることを示唆。ただ、トレンドの強さを示すADXが低下基調にあり、現時点では強いトレンドとみなすことも難しそうです。昨年半ばから続く8.00円を挟んだレンジ内(チャート上の四角で囲った部分)から脱却できるかについては、もう少し様子を見る必要があるでしょう。

ランド円の日足分析

今度は日足でも見ていきます(下図のチャート)。昨年5月安値を始点とする上昇トレンドライン(チャート上の黄色実線)は週足分析で紹介したものと同じものです。昨年高値を始点とする下降トレンドライン(チャート上の青色実線)を今年早々に上抜けて、足もとでは上昇トレンドに回帰。現在は昨年末安値を起点とする短期の新たな上昇トレンドライン(チャート上の黄色点線)が機能していることが分かります。

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また、今回は「一目均衡表」も追加しましたが、遅行スパンは価格線を上回っており、転換線は基準線を上回って推移。前週末には価格線も雲をわずかに上抜けて、いわゆる「三役好転」の強い買いシグナルが点灯しました。しばらくは7.95円付近に位置する雲上限を安定的上回ることができるか、雲上限がサポートとして機能するかなどを見極める必要があるものの、少なくとも短期的には上方向に目を向けたいところ。

なお、前述した短期の上昇トレンドラインですが、本日時点では7.86円台に位置しており、1カ月後には8.03円付近まで切り上がる見込みとなっています。

今後のイベントは

最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策。日銀が政策正常化の判断材料としている2024年春闘の集中回答日を3月中旬に控え、その結果を受けて政策修正に動くか注目されます。また、南アフリカでは3月27日に予定されている金融政策決定委員会を前に2度のCPI発表があり、こちらにも注意が必要です。

今後1カ月の重要イベント

2月21日 南ア 1月消費者物価指数(CPI)

2月27日 日本 1月全国CPI

3月中旬 日本 春闘の集中回答日

3月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合

3月20日 南ア 2月CPI

※本記事は2024年2月21日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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