<テクニカル分析判断> ●短・中期:上昇トレンド再開本格化へ向け上値模索も、分厚い上値抵抗ゾーンに直面 10/14週は「寄付149.1 […]
(画像の出典:FRB ウェブサイト https://www.federalreserve.gov/publications.htm)
日本の中央銀行は「お札」でおなじみの日本銀行ですが、アメリカにも中央銀行に似た組織がありFRB(連邦準備制度理事会)がその役割を担っています。FRBは「雇用の最大化」と「物価の安定」を二大責務として課せられており、これを果たすために開催される最高決定機関がFOMCです。
本記事では、FOMCの概要、注目ポイント、株と為替に与える影響、そして投資に活かすヒントを解説します。
1 FOMCの概要
(画像の出典:FRBウェブサイト https://www.federalreserve.gov/default.htm)
FOMCとは、「Federal Open Market Committee」(連邦公開市場委員会)の頭文字をとったもので、米国の金融政策を決定する会合のことです。日本でいうところの日本銀行の金融政策決定会合にあたります。
FOMCは2023年現在、約6週間ごとに年に8回開催され、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行総裁5名が参加し、投票により方針が決定されています。現在の委員長はジェローム・パウエルFRB議長です。
通常、FOMCは2日間の日程で開催され、最終日に政策金利の結果が公表されます。サマータイム(夏時間)の期間中は日本時間の午前3時、冬時間は日本時間の午前4時が結果公表時間となります。
参考URL : FOMCのスケジュール
2 注目ポイント
(画像の出典:FRBウェブサイト https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20230920.pdf)
- 政策金利
FOMCのメインとなる決定事項です。政策金利を上げるのか、下げるのか、維持するのかに加え、変動幅は0.25%なのか、0.50%なのか、思い切って0.75%動かすのかということも注目されます。政策が発表された直後に株価(NYダウ平均株価)が数百ドル変動したり、為替(米ドル円)が瞬時に1円以上変動したりすることも珍しくありません。
- 記者会見
政策金利の結果発表から約30分後にFRB議長の記者会見が行われます。政策金利の決定に至った経緯や今後の見通しについて説明が行われ、記者との質疑応答が行われます。米国ではBloombergやCNBCといった経済メディアが多く、専門性の高い記者が突っ込んだ質問をすることが多いことから、質疑応答の中で述べられた回答によって、株や為替が再び変動を強めることがあります。
- ドットチャート
毎年3、6、9、12月の会合後には、FOMCメンバーが予想する政策金利の水準を、それぞれひとつの点(ドット)として図にしたドットチャートが公表され、こちらも将来の金利見通しとして注目されています。
FRBによれば、金融政策の意図を対外的に伝達する基本的な手段は、FOMCの声明であり、ドットチャートは、あくまでFOMC参加者の金利見通しに過ぎないとされていますが、将来の政策金利の動きを予測するうえで、現在のメンバーの方向性がタカ派(金利を上げる方向)なのかハト派(金利を下げる方向)なのかを、判断する材料になります。
- 議事要旨
FOMCの約3週間後には、議事録の要約版である議事要旨(Minutes)が公表されます。議事要旨には、どのような判断のもと今回の金融政策に至ったのか、誰が賛成・反対したのかなどが記録されており、今後の金融政策の先行きを予測するための資料として注目されています。
3 政策金利の上昇が株と為替に与える影響
(画像の出典:NYSEウェブサイト https://www.nyse.com/index)
FOMCでは政策金利が決定されますが、金利が上がるとどのような影響が生じるのでしょうか。
多くの企業は銀行からの借入金やマーケットから社債といった形で資金を調達し、設備投資などを行っています。従って、金利が上がると企業は支払う利息が増え、利益を圧迫する要因となります。もしかしたら、金利の支払いに耐えられなくなって、倒産するということも生じかねません。個人でも、住宅ローンなどの金利が上がるとお金を借りにくくなり、消費が減退します。
一方、投資家は、金利が高くなるとリスクが高い株式よりも相対的にリスクが低い債券でも十分なリターンが得られるようになることから、株を売って債券を買うという行動に出るようになります。
また、金利が高い通貨を持っている方が多くの利息を得られるため、金利が低い通貨を売って金利が高い通貨を購入する動きが活発になります。例えば、日本の投資家にとっては、ゼロ金利の日本国債より圧倒的に高金利の米国債の方が魅力的になります。そのため、円を売って米国債(米ドル)を買うことにつながり、円安株安が生じます。
こうして、政策金利の上昇は景気の落ち込み(沈静化)や株価の下落を招くとともに、為替の上昇につながる可能性があります。
4 日本に何の関係があるのか
為替市場にとって、FOMCは米国雇用統計と並んで定期的に開催される最大のイベントであり、政策が発表された直後に為替レートが1円以上の大きな値動きをすることも珍しくありません。また、市場の習性として、予想通りの結果であれば、発表後の動きは小さく、予想外であれば動きは大きくなります。そして、その動きは短期的なものにとどまらず、長期的なトレンドを形成することも珍しくありません。
輸入企業であれば、ドル高円安は仕入れにかかるコストの上昇に直結します。つまり、先々に支払う輸入代金を円から米ドルに換える場合、今より円安になり支払金額が円ベースで増加するリスクを避けるためのヘッジが重要となります。
また、輸出企業であれば、ドル高円安は円ベースでの売上の上昇及び輸出先での価格競争力の強化につながる一方、これが反転すると、受け取る輸出代金を外貨から円に換えるとき、売上金額が円ベースで減少するリスクがあることから、こちらも将来のリスクを避けるためのヘッジが業績の安定には必要とされています。
FOMCの動向や結果に注意を払いながら、将来の日本と米国の金利の変動の可能性を考慮し、的確にリスク管理を行うことが輸出入企業の財務担当者に求められています。
5 まとめ
本記事では、FOMCと日本の企業活動に与える影響をご紹介しました。FOMCは日米金利差の拡大・縮小を通じて為替の方向性を決定づける大きなイベントです。今後もその動向には目が離せません。
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