目次Executive Summary1. 先週の為替相場の振り返り=ドル円はOPECプラス減産で上昇後、上げ幅縮小2. 主な要人発言3. […]
ドル円、5月3日以来の安値151.94円
今週、ドル円は一時155.38円と6月7日以来約1カ月半ぶりの安値を更新しました。今月3日には161.95円と今週、ドル円は一時151.94円と5月3日以来の安値を更新しました。先週は米大統領選の共和党候補に指名されたトランプ前大統領が通信社とのインタビューで「米国はドル高により大きな問題を抱えている」と述べ、足もとのドル高をけん制。さらには、河野太郎デジタル相が円安是正のため、日銀に政策金利を引き上げるよう求めたと伝わり、円買いとドル売りの両方が強まりました。
今週に入ると、日銀による追加利上げ観測が高まる中、日本株相場の急落や米国株相場の軟調地合いを受けてリスク・オフの円買いも優勢になりました。「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討」「今後数年間で債券購入を半減する計画」との観測報道や、自民党の茂木敏充幹事長が「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」と述べたと伝わると、日銀の政策正常化への思惑が高まった格好です。
*Trading Viewより
市場関係者からは「日銀会合で追加利上げが実施されることへの警戒がある」として「為替介入と連携した形になると円安の息の根を止められる可能性があり、円売りポジションは調整せざるを得ない」との声が聞かれています。なお、大手ベンダーによると、日銀が国債買い入れの減額計画と同時に追加利上げを決めると予想するエコノミストは3割程度となっています。
投機筋の円売りポジションが急減
ヘッジファンドによる円売りポジションは今月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。
ただ、26日(日本時間27日早朝)に発表された23日時点の建玉報告によると、投機筋の円売りポジションは10万7108枚と2日時点の18万4223枚からは7万7115枚減少しています。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
政府・日銀による介入や日銀の追加利上げへの警戒から、投機筋の円売りポジションは「慎重度が増す」可能性があるほか、すでに円売りに大きく偏ったポジションを「解消」する動きが拡大する可能性にも留意したいところです。「10万枚」はまだまだ大きな偏りです。
ドル円、いわゆるスケベショートは維持
以前の記事では「神田真人財務官は今月末に3年の任期を終えるため、その前にこの歴史的な円安進行を阻止し、決着をつけておきたいはず。これに便乗してドル円をショート(いわゆるスケベショート)した」と紹介しました。ポジションは1ロット、159.082円で建てています。現在は「5万3000円ほど」の利益となっていますが、もうしばらくは維持したいところ。
*IG証券より
来週はビッグイベント「日米の金融政策」
4来週は30-31日に日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)のビッグイベントが予定されています。市場では両イベントを受けたマーケットの動きに注目が集まっていますが、市場では「日銀は国債買い入れ減額と追加利上げを同時決定することが警戒されているが、据え置きの場合は円売りが再開する可能性がある」「FOMCの注目点は9月利下げのヒントを示すかだが、利下げ織り込みは進んでおり、金利低下・ドル安の動きは限られそうだ」との声が聞かれています。また、「このところの円高は異常。日銀が政策引き締めの役割を果たさない場合は、円安要因となるキャリートレードが大々的に復活するかもしれない」との見立てもありました。
いずれにしても、「円安」方向を警戒する向きが多いようです。
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※本記事は2024年7月27日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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