2025年最新の豪ドル円見通し:目先は押し目買い方針、RBAの緩和終了も支えとなるか
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

大学卒業後の2004年に国内証券会社に入社。

外国為替証拠金取引業務に携わった後、金融情報サービス会社にて個人投資家向けの為替情報配信業務を担当。市況サービスのほか、テクニカル分析を軸にした情報を配信する。

国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト。

為替の仕組み

今回解説していく通貨は豪ドル円(aud/jpy)です。今年4月上旬の下落以降はしっかりとした買い戻し基調にあり、テクニカル的にも押し目買い方針が有効となるでしょう。ただ、長期目線でいうと過去のレジスタンスゾーンが近づきつつあることは注意しておきたいところ。ファンダメンタルズでは豪州の金融政策に注目。豪準備銀行(中央銀行、RBA)の利下げ局面は終了、次の一手は利上げになる模様です。



まずは豪州の現在の金融政策状況を確認していきます。

豪準備銀行(RBA)は2022年5月に金融引き締めを開始。2023年11月に政策金利を4.35%まで引き上げて、2025年2月から金融緩和局面へと移行。現在の政策金利は3.60%です。

●RBAは12月に開催された直近の会合で政策金利の据え置きを決めましたが、その際の声明文では

・インフレは最近再び上昇している

・データはインフレのより広範な上昇の兆候を示しており、その一部は持続的で、密接な監視が必要

・インフレ圧力の持続性を評価するにはもう少し時間がかかる

などの見解が示されました。

また、RBAのブロック総裁はその後の会見で「理事会は金融引き締めが必要となるシナリオを議論した」「さらなる利下げは必要ないだろう」などと言及。中銀として次の一手が利上げ方向にあることを明確にしています。なお、金利先物市場では現在、2026年中に2回の程度の利上げを織り込んでいる状況です。



下図のチャートは豪ドル円の週足チャートになります。

現在は4月後半からの上昇トレンド(チャート上の青色実線)内で推移。足もとでは買いの勢いが強まり、チャネルライン(チャート上の青色点線)を一時上抜ける場面も見られました。

また、チャート下部に追加した「DMI」によると+DI>-DI(上昇トレンド)を示唆。トレンドの強さを示すADXも上昇傾向にあり、目先は前述の上昇トレンドラインなどを目処にした押し目買い戦略が有効となりそうです。



今度はより長期的な視点からも豪ドル円の動きを確認していきましょう。下図のチャートは豪ドル円の月足チャートになります。

「DMI」で確認すると11月になって+DIが-DIを上回り、上昇トレンドへの転換を示唆。ただ、こちらではトレンドの強さを示すADXが低下傾向にあり、依然としてしっかりとした上昇トレンドには至っていないようです。

また、2000年代からの長期始点でみると105-110円のゾーンは何度も上値を抑制してきた水準であり、このゾーンに近づきつつあることも頭にいれておきたいところです。



最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は日銀の金融政策決定会合です。今回の会合では今年1月以来となる追加利上げが見込まれていますが、今回の利上げに関してはすでに織り込み済み。市場の注目は来年以降の利上げペースに集まっており、植田日銀総裁の会見などでヒントが得られるか注意してみていきましょう。

一方、豪準備銀行(RBA)の年明け最初の金融政策決定理事会は2月2-3日に開催予定です。それまでは1月7日の11月豪消費者物価指数(CPI)などを確認しながら、RBAの金融政策を探ることになりそうです。もっとも、RBAはインフレ動向を判断する際の材料として四半期ベースのデータを重視しているため、より重要な指標は28日に公表予定の10-12月期CPIになります。

その他のイベントは以下の通りとなります。

今後1カ月の重要イベント

・12月19日 日本 11月全国消費者物価指数(CPI)

・12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合

・1月7日 豪州 11月CPI


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2025年12月17日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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