近年の相場の軸足
金 星
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。
外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

マーケット分析
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2010年から昨年までの為替相場を振り返り、その年に「相場の軸足」がどこに置かれたかを簡単に紹介します。

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2010年

・中国・インドの引き締め観測でリスクオフムード→円高

・ユーロ圏の債務危機が表面化→ユーロ安

・米景気減速とユーロ圏債務危機でリスクオフ→円高

2010年のドル円

年初の92円半ばから一時80円半ばまで下落

2011年

・東日本大震災で保険会社のリパトリエーションの期待→円高

・ユーロ圏債務危機から世界金融危機再燃への懸念高まる→ドル高・円高・ユーロ安

・円高阻止に日本政府が円売り介入→円安

2011年のドル円

10月に戦後最安値となる75.32円まで下落

2012年

・ユーロ圏債務危機はギリシャから周辺国に波及→ユーロ安

・ECBが政策金利を0.75%に引き下げ→ユーロ安

・FRBが超低金利政策の延長を発表→ドル高

・ユーロ圏・中国などの景気減速懸念や日本のデフレ深刻化→円高

・後半に安倍政権への移行で円高是正に期待感→円安

2012年のドル円

秋まで円高が続くも、12月には85円台まで持ち直す

2013年

・FRBが量的緩和策の縮小を開始→ドル高

・アベノミクス推進の下で日銀が異次元緩和策を実施→円安

2013年のドル円

2009年以来の100円台を回復

2014年

・FRBの緩和策縮小と中国景気減速→新興国通貨安

・異次元緩和策実施の日銀とFRBの政策格差の拡大→ドル高・円安

2014年のドル円

12月に2007年8月以来の高値となる121円後半まで上昇

2015年

・前半は日米金融政策の格差を意識した動き→ドル高・円安

・後半はチャイナショックが発生しリスクオフ→円高

・ECBが量的金融緩和策を導入→ユーロ安

・チャイナショック、コモディティ価格の下落→資源国通貨が大幅安

2015年のドル円

6月に125円台まで一段高となるも、リスクオフの円買いで失速し、「行ってこい」の相場に。

2016年

・英国の国民投票でEU離脱が勝利→ポンド暴落

・米中景気減速懸念でリスクオフ→円高

・後半は米景気回復とトランプ次期大統領への期待→ドル高

2016年のドル円

6月に99円近辺まで下落したが、12月には118円半ばまで持ち直す

2017年

・経済の先行き不透明感が強く、リスクオフが優勢→円高

・FRBの利上げ→ドル高

・コモディティ価格の持ち直し→資源国通貨高

・ユーロ圏の景気回復とECBの緩和縮小方針→ユーロ高

2017年のドル円

ややドル安・円高となるも、年を通じて値幅は10円程度と方向感は限定的

2018年

・FRBの利上げ→ドル高

・米中貿易摩擦の激化。北朝鮮・中東情勢の緊迫化→円高

・英国のEU離脱(ブレグジット)問題→ポンド安

2018年のドル円

売り買い材料が交錯し、方向感は出ず110円を挟んで上下

2019年

・米景気の好調→ドル高

・米中貿易摩擦の激化と協議進展期待に揺れる→円高・円安

・FRBが金融政策の緩和へ転換→ドル安

2019年のドル円

ほぼ横ばい、値幅は8円弱と過去最小の変動幅を記録

2020年

・コロナショックでリスクオフ→円高

・世界の多くの国が積極的な金融財政政策を実施→円安

2020年のドル円

3月に101円前半まで下落した後買い戻しが入るも上値は重くドル安・円高で終了

2021年

・後半に米物価上昇に伴いFRBの利上げ期待が高まる→ドル高

・原油高で日本の貿易収支悪化観測が強まる→円安

2021年のドル円

11月に約4年ぶりの高値水準となる115円台に上昇

2022年

・日銀が緩和策を継続する一方で、インフレ対策で多くの中銀が利上げ加速→円独歩安

2022年のドル円

10月には1990年以来の高値151.95円まで上昇

本記事は2023年7月15日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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