FRB、来年の政策運営はなお不透明
金 星
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

中国出身。横浜国立大学大学院卒業後、国内商品先物会社に入社。
外国為替証拠金取引会社へ出向し、カバーディール業務に携わりながら市況サービスも担当。2013年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

為替の仕組み


米国連邦準備制度理事会(FRB)は今年最後となる12月9-10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げに踏み切りました。インフレ対策で政策金利を5.25-5.50%まで切り上げたが、2024年9月FOMCから緩和姿勢を強め、据え置きを挟みながら今年の12月FOMCで3.50-3.75%まで引き下げています。

12月FOMCでは0.25%の利下げ決定に3人のメンバーが反対する異例の展開となりました。3人が反対したのは2019年以来、初めてです。トランプ政権の関税政策で物価が上昇基調にあるなか、拙速な利下げによるインフレ加速への懸念の声が出る一方で、より大幅な利下げを求める声もあり、意見の対立が表面化しています。なお、FRBは来年の利下げペースについて1回となる見通しを維持しました。



1回目:1月27-28日

2回目:3月17-18日

3回目:4月28-29日

4回目:6月16-17日

5回目:7月28-29日

6回目:9月15-16日

7回目:10月27-28日

8回目:12月8-9日



パウエルFRB議長の任期は2026年5月までとなっています。FRB議長は大統領が指名し、米連邦議会上院の承認を経て就任することになっています。トランプ大統領とパウエル氏は金利政策を巡ってたびたび衝突してきた経緯があり、今回の議長人事は今後の金融政策の方向性を大きく左右する可能性があります。

トランプ大統領は議長指名がおそらく年明けになると述べています。議長の有力候補はケビン・ウォーシュ元FRB理事、ケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長、クリストファー・ウォラーFRB理事の3人となっています。3人は経歴がばらばらで、金融政策の考えに違いがありますが、さらなる政策金利引き下げが望ましいとの見解は一致しています。



インフレや労働市場の今後は不確実性が高く、FRBの2026年の金融政策見通しはなお不透明な状況です。また、トランプ政権の関税を含めた政策や、米中関係なども大きな影響を与える可能性があります。

最近の世論調査でトランプ氏の支持率は39%と、2期目として最低水準に迫りました。国民の物価高への不満が高まっている中、トランプ氏は今週に国民に向けて演説を行ったが、物価高への新たな対応策はほとんど示さず、バイデン前大統領や過去の貿易協定、移民などが原因だと主張。移民流入の削減や一部品目の価格引き下げなどさまざまな問題に対し政権が今年取り組んだ実績をアピールしました。来年11月の中間選挙に向けて、新たな常識外れの言動が見られる可能性が高いでしょう。


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2025年12月20日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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