「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
中村 知博
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。
外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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米10年債利回り、2カ月ぶりの低水準

先週発表された米国の重要指標である10月米消費者物価指数(CPI)。前月比横ばい/前年比3.2%と予想の前月比0.1%/前年比3.3%を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数も前月比0.2%/前年比4.0%と予想の前月比0.3%/前年比4.1%より弱い内容となったことで、市場では「米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げサイクルは終了した」との見方が広がっていますが、今週もその流れが継続しました。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.3615%前後と9月20日以来の低水準を付けました。

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また、今週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月31日-11月1日分)では、「今後の政策金利の動向に関して『慎重に進む』戦略を取るほか、追加引き締めの是非はインフレ目標に向けた進展度合いに基づいて判断することで当局者の見解が一致した」と明らかになりました。

米国債(CFD)の買いポジション、含み益は減少

先月9日に米国10年国債先物($10)=CFDを「1」ロット「10741.8」でロングしましたが、一時は「▲1977ドル(▲29万6000円程度)」とかなりの含み損に。つらい日々を過ごしていましたが、先週末時点には「△1460ドル(△22万円程度)」の含み益になりました。今週は米国が感謝祭の祝日とあって、長期休暇に入る参加者も多く、あまり大きな方向感は出ませんでしたが、ポジションは「△1051ドル(△16万円程度)」に減少しています。来週以降、休み明けのNY勢の動向に注意しつつ、年末に向けてのトレンドを探っていく展開となりそうです。

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*IG証券より 

米金利上昇リスクにはなお注意

米国のインフレ鈍化でFRBの利上げ観測は後退し、米国債相場は反発傾向(金利は低下傾向)が強まっていますが、市場では「米個人消費と労働市場は堅調さを維持している。米経済が深刻なリセッションに突入する可能性は低い。インフレの鈍化を受けてFRBは2024年に利下げに踏み切る可能性はあるが、1-2回程度にとどまるだろう。大幅な利下げを期待すべきではない」との声が聞かれています。

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また、「FRBの量的引き締めが進む中、米国債の需給バランスは変化している。日本の金利上昇で日本の投資家は米国債から資金を引き揚げている。中国も米国債の保有を減らしている。中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇し、インフレが再燃する可能性もある。金利上昇リスクにはなお注意が必要だ」と警鐘を鳴らす向きもありました。

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