テクニカル分析判断 サマリー: ●短期:依然として根強い上昇局面にあるものの、そのステージは「終盤」の模様 ●中期:上昇優勢の展開が再来する […]
日本当局はいったんほっとするも・・・
今週に日米金融政策イベントを消化し、ドル円は上昇が一服するも依然として押し目買い意欲が強く、まだ上昇トレントが変わったとは言えません。
日銀は今週の会合で大規模な金融緩和策を維持した上で、長期金利の上限を「1%」に厳格に抑えるとしてきたこれまでの運用を改めて上限を「1%をめど」に見直し、金融政策の運用をより柔軟化することを決めました。予想通りの結果に市場は円売りで反応し、ドル円は151.72円まで年初来高値を更新しました。
そして米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を受けて利上げ打ち止め観測が強まり、ドル円の上昇が一服しました。週末の米雇用統計が予想を下回ったことを受けてドルが一段安となり、ドル円は149円前半まで下押したが、依然として押し目買い意欲が強いです。
この動きには今週も口先介入で警戒感を強めている日本当局が一番ほっとしているかも知れません。ただ、米経済が主要国で好調さが目立っていることや、日銀が金融政策の正常化に慎重姿勢を崩していないことを鑑みると、ドル円は再び昨年10月に記録した1990年7月以来の高値151.95円を意識した動きになる可能性が高く、日本当局の円買い介入警戒感は残されています。
介入パータン
政府・中銀の為替市場介入は口先介入、単独介入、協調介入に分けられています。
●口先介入
その名の通り「口先」で介入することで、政府・中銀の幹部などが実際には為替取引を行わず、自らの考えを示すことだけで為替レートを望む方向に換えようとすることです。
●単独介入
一つの国の政府・中銀だけが行う介入です。
自分の代わりにほかの国の政府・中銀に介入を任せる介入を委託介入とも呼びます。
●協調介入
複数の政府・中銀がお互いに連絡を取り合い、同じタイミングで介入を行うことです。当然効果は一番大きいです。有名なのは1985年のプラザ合意に基づいて日米英独仏5カ国が行った協調介入です。
介入を実施しても効果は薄いか
介入が成功するもっとも基本的な条件は、政府・中銀の考えが市場関係者に納得感を持って理解されることです。また、介入はできれば単独介入ではなく協調介入が望ましいと言われていますが、現状のドル高・円安は、日米両国の金利差拡大やファンダメンタルズに沿った動きと言えるので協調介入は期待できず、日本当局が円買いの介入を行い、人為的な相場を作っても長続きはしません。よって、介入を受けてドル円が急落したところは、絶好の米ドル「押し目買い」局面と見なす市場参加者は少なくありません。
2022年の円買い介入
日本政府は昨年、ドル円が1ドル145円を超えた9月22日に24年ぶりとなる円買い為替介入に踏み切りました。150円を超えた10月下旬にも2度介入が実施された結果、介入は合計3回、総額9.2兆円規模に達しました。
ドル円は昨年10月につけた151.95円を高値に今年の1月に一時127円前半まで下落したが、これは介入効果というより日米金融政策の先行きに対する市場の見方に変化があったからです。日米金利差が再び拡大するなか、ドル円は再び上昇基調を強め、介入を警戒しつつも今週151円後半まで切り返しました。
介入の確認方法
政府・中銀が介入を行ったかどうかは、国際収支統計の外貨準備の変化をみることで確認できます。
また、日本政府は財務省が介入した実績額についてはその総額を一カ月毎に、また介入実績の詳細(実施日、介入額、売買通貨)については四半期毎に、それぞれ対外公表しています。
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