
テクニカル分析判断 サマリー: ●想定を大きく上回る根強い上昇圧力を改めて確認。「強力な上値抵抗帯の 上限を終値で明確に上回れる」かどうかが […]
・3月6日~3月10日週のドル円の値幅は3円80銭となり、その前の週の1円84銭から拡大。ドル
高・円安が加速した後、急速にそうした流れを巻き戻した。
・3月7日、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が半期に一度行う金融政策に関する議会証言で、「入手されるデータ全体によってより迅速な引き締めが正当化されると示唆されるなら、利上げペースを速める用意がある」、「最終的な金利水準(ターミナル・レート)が従来想定より高くなる可能性がある」と発言。タカ派的な見解と受け止められ、米10年債利回りは再び一時4%台に乗せ、為替市場への影響が大きい米短期金利は特に上振れし、米2年債利回りは一時5%を超え、2007年以来の高水準をつけた。ドル円は米金利上昇につれ、一時137.20円まで上値を広げた。なお、FF先物市場では、3月21~22日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げの織り込み度が前日の31.4%→69.8%へ急伸し、前回の0.25%から利上げペースが再加速するとの観測が高まった。さらに、ターミナル・レートも従来の5.25~5.5%から、5.5~5.75%へ上方修正された。
チャート:3月7日時点でのFF先物市場での利上げ観測、3月FOMCで0.5%利上げ観測が優勢に
・翌3月8日の東京時間には、本邦1月経常赤字が1兆9,766億円と、比較可能な1985年以降で最大に膨らんだことも重なり、22年12月20日の高値137.48円を超え、一時137.91円までドル高・円安が進んだ。ただし、同日のパウエル氏の議会証言2日目では、「利上げペースを速める用意がある」との前に、「現時点で決定していないと強調するが」との文言を追加。さらに、暗号資産(仮想通貨)を扱うシルバーゲート銀行の親会社である米シルバーゲート・キャピタルが事業の閉鎖を発表。一連の動向を受け、米金利とドル円の上昇が一服した。
・3月9日には、米新規失業保険申請件数が市場予想より増加したほか、米2月チャレンジャー人員削予定数も、1~2月の年初来で2009年以来の高水準を記録したため、米金利の低下につれてドル円は下落。136円台を割り込んだ。
・3月10日には、黒田総裁最後となる日銀金融政策決定会合が開催され、サプライズなし、緩和策の維持を決定した。ドル円は、一時136.99円まで上昇。しかし、NY時間でドル円は急落した。
・米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が市場予想を上回り堅調な伸びを記録した一方、労働参加率の改善に連れ失業率が上昇するなど、強弱まちまちな結果となった。加えて、新興テクノロジー企業への融資で知られるシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、事業を停止したと発表。安全資産である米債に資金が流入し、米10年債利回りは一時3.674%と約1カ月ぶりの水準へ急低下しため、ドル円は一時、約2週間ぶりに135円を割り込み一時134.91円まで下落した。合わせて、FF先物市場にて、3月FOMCでは再び0.25%利上げ観測が台頭、ターミナル・レートもパウエル議会証言後の5.5~5.75%から、5.25~5.5%へ引き下げられた。ただし、3月13日にはシグネチャー銀行の事業停止を受け、さらに見通しは下方修正された
(注:「5.為替見通し:SVB破綻と今後の不確実性を受け、年内利下げ観測再浮上」をご参照)
チャート:ドル円の日足チャート、3月8日に200日移動平均線(赤線)を超えて137.91円へ上昇
も突破も、その後は米2月雇用統計やSLB破綻を受けて米10年債利回りの低下につれ、上げ幅を
縮小し一時は134円割れ(白い枠が3月6日週の動き)。
・Fed高官からは、パウエルFRB議長を始めタカ派寄りの発言が優勢だった。ECB当局者からは、利上げ継続示唆が聞かれた半面、イタリア中銀総裁やポルトガル中銀総裁などは、0.5%利上げに慎重なコメントを寄せていた。英中銀当局者の発言も、利上げ継続と利上げ中断の二つに分かれ、景気減速への警戒感が高まっている様子を反映した。
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!