
為替相場の変動に短期的には経済、政治、地政学リスクなどいろいろな要因が絡んでいますが、中長期トレンドは実需が大きな影響を与えているとの認識が […]
【4/17-21のドル円レンジ:133.55~135.14円】
・(週の総括)4月17~21日週のドル円の値幅は1円59銭と、その前の週の2円22銭から縮小した。値幅こそ年初来で最も小幅だったものの、前週に続き上値を切り上げ一時約1カ月ぶりに135円台を回復。ただし、上昇のエネルギーは限られ、135円突破後は失速。133円半ばへ下落した後で、134円前半で週を終えた。
・4月17日、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値で1年先インフレ期待が前月か1%ポイントも上昇した流れを受け継ぎ、ドル円は上値追いの展開。米4月NY連銀製造業景況指数が10.8と、市場予想の-18.0だけでなく前月の-24.6からも急伸し、米利上げ継続観測が強まると、ドル円を押し上げた。
・4月18日には、タカ派のセントルイス連銀総裁が「制約的な政策金利は5.5%から5.75%の範囲と見込む」と発言するなど、利上げ継続姿勢を示したため、前日までの米指標の強含みもあって上方向を維持。
・4月19日には、英3月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り対ポンドで円売りが加速したほか、一部報道で「4月の日銀金融政策決定会合でのイールド・カーブ・コントロール(YCC)修正について、日銀内で慎重な意見が広がっている」との報道を受け、ドル円は一時135.14円と約1カ月ぶりの水準へ上昇した。
・4月20日は逆に、弱い米指標結果が並びドル円を押し下げた。米新規失業保険申請件数は前週比で小幅ながら増加し、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が-31.3と、市場予想の-19.2と前月の-23.2から急低下した。さらに米3月中古住宅販売件数が市場予想以下だった上、中古住宅価格の中央値が前年同月比で0.9%下落し、2012年1月以来、約11年ぶりの大きさを記録以来の落ち込みとなった。
チャート:NY連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀製造業景況指数と比較し振れが大きく、また製造業活動が占める経済規模はフィラデルフィア連銀の方が大きいという特徴あり。
・4月21日には、一時133.55円と約1週間ぶりの水準へ下落も、米4月総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が53.5と22年5月以来、11カ月ぶりの高水準となったため買い戻され、134円前半で週を終えた。
チャート:ドル円の日足チャート、ボリンジャー・バンドの2σの水準で上げ渋り(白い枠が3月27日週の動き、ボリンジャー・バンドの2σは紫の枠の上限)。
・米国のFed高官からは、あと1回の利上げだけでなく、複数回の利上げを支持する発言もみられた。欧州中央銀行(ECB)当局者の発言は、引き続き利上げ方向を打ち出すも、意見はまちまちで、ややタカ派が優勢といった印象。その他、日本では植田日銀総裁が政府・日銀の共同声明につき見直し不要との見方を寄せた。
〇米国の経済指標⇒4月の製造業景況指数は、NY連銀製造業景況指数とS&Pグローバルの製造業PMIが改善した半面、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は急落するなど、まちまちだった。住宅指標も、強弱ミックスとなり、米3月住宅着工件数は市場予想を上回ったが、米3月中古住宅販売件数は市場予想以下にとどまった。
〇欧州の経済指標⇒ユーロ圏3月消費者物価指数は(HICP)改定値は、市場予想通りの結果になった。独4月AEW景況感指数は市場予想を大きく下回ったが、ユーロ圏及びドイツの4月製造業、サービス業のPMIなどは市場予想を上回った。逆に英3月CPIは市場予想を上回り、インフレ高止まりから利上げ警戒感が高まった。
〇日本と中国の経済指標⇒本邦3月全国消費者物価指数は市場予想通りにとどまり、インフレには落ち着きが見られ、日銀が緩和修正を急ぐ必要性が低下した。中国1~3月GDPや3月小売売上高は市場予想を上回ったが、ゼロ・コロナ政策の反動との見方もくすぶる。
〇オセアニアの経済指標⇒NZのインフレ率は鈍化した。RBAの議事要旨によれば、据え置きを決定したもののインフレ動向を受け利上げも議論されたことが判明、インフレ高止まりでは追加利上げの余地を残した。
今週の為替見通しに関しては、レポートの完全版をご覧ください。
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