
―Executive Summary― 目次1.先週の為替相場の振り返り=ドル円、日銀金融政策決定会合を挟み乱高下2.主な要人発言3.主な経 […]
【6/5-6/9のドル円レンジ:138.76~140.45円】
・(先週の総括)ドル円の変動幅は6月5日週に1円69銭となり、その前の週の2円51銭から一段と縮小した。4月17日週以来、年初来では2番目に小さな変動となる。また、週ベースでは続落した。米5月ISM非製造業景況指数や米新規失業保険申請件数など、弱い米指標を受けて下落したものの、重要指標やイベントに乏しく、下値は138.76円と限られた。また、6月16日に結果発表となる日銀金融政策決定会合で、大規模緩和を維持する見通しとの報道も、ドル円の売り圧力を抑えた。
・6月5日、東京時間夕方に一時140.45円へ上昇した。しかし、米5月ISM非製造業景況指数が50.3と5カ月ぶりに景気拡大・縮小の分岐点となる50割れが迫っただけでなく、インフレ圧力を示す仕入れ価格が2020年3月以来、約3年ぶりの低水準となり、ドル円は一時139.25円へ下落した。
チャート:米5月非製造業景況指数
・6月6日は、材料不足のなか139円台で小動きに終始した。
・6月7日は、カナダ中銀が市場予想に反し3会合ぶりの利上げを発表した結果、米10年債利回りが一時3.8%を付けた動きにつれドルが買われ、ドル円は一時140.23円まで上昇した。
・6月8日は、一転してドル円が下落。日本のQ1実質GDP成長率・改定値が上方修正された。また、米新規失業保険申請件数が2021年10月以来の26万件台に乗せ、労働市場が鈍化した可能性を示唆。ドル円は139円を割り込み、138.80円まで下落した。
チャート:日本の実質GDP成長率・改定値では前期比年率2.7%増と、速報値の1.6%増から上方修正
チャート:米新規失業保険申請件数、2021年10月以来の水準へ増加、約1カ月前に同水準へ増加した当時はマサチューセッツ州での不正申請での水増しが発覚したが、今回はどうなるか。
・6月9日、東京時間に日銀が6月18~19日の金融政策決定会合で大規模緩和を維持すると報じられ、ドル円の買いを誘った。しかし、一時139.72円までの上昇にとどまり140円台を回復できず、NY時間には一時138.76円まで下落。ただし、NY引けには139円前半へ戻した。なお、13日夕に岸田首相が記者会見と報じられ、衆院の解散・総選挙を発表するとの思惑が流れたが、事前に少子化問題に関する内容とも伝わり、影響は限定的だった。
チャート:ドル円の日足チャート(白い枠が今週のレンジ、緑線・左軸は米10年債利回りを表す)
(出所:TradingView)
・6月5~6月9日は、6月FOMCを控え、Fed高官は同3日からブラックアウト期間に入ったため、金融政策に関する発言が控えられた。欧州中央銀行(ECB)当局からは、ラガルド総裁やシュナーベルECB理事、独連銀総裁、オランダ中銀総裁、アイルランド中銀総裁、クロアチア中銀総裁などから利上げ継続を示唆する発言を行った。日本からは、少子化対策に関する発言などが飛び出したが、市場への影響は限定的。植田日銀総裁は引き続き緩和維持の方向性を示した。中国の人民銀総裁は、足元の景気鈍化懸念を払しょくする見解を表明。豪中銀総裁は、利上げ再開につきインフレ上昇を挙げた。
〇米国の経済指標⇒米5月ISM非製造業景況指数が5カ月ぶりの水準に低下したほか、米新規失業保険申請件数が2021年10月以来の水準へ増加するなど、弱い数字が目立った。
〇欧州の経済指標⇒ユーロ圏Q1実質成長率は前期比にて2期連続でマイナスとなり、独に続きテクニカル・リセッション(2四半期連続でマイナス)に陥った。その他、ユーロ圏と独のサービス部門PMI改定値を始め独4月製造業受注やユーロ圏4月小売売上高なども、市場予想以下にとどまった。対して、英5月サービス業PMI改定値は市場予想を小幅に上回った。
〇日本と中国の経済指標⇒日本のQ1実質GDP成長率・改定値は、企業の設備投資などに支えられ上方修正となった。4月国際黒字は貿易赤字幅が縮小したため、改善した。中国は5月財新サービス業PMIが市場予想を上回ったが、中国5月貿易収支で輸出と輸入が共に減少。中国5月消費者物価指数は市場予想を下回り、同生産者物価指数(PPI)はマイナス幅を広げ景気減速懸念を強めた。
〇オセアニアの経済指標⇒豪Q1経常収支は市場予想以下の黒字にとどまったほか、豪Q1GDPも市場予想以下に終わり、利上げを再開したものの景気鈍化を示唆した。NZはQ1製造業売上高が前期より弱い結果となった。
今週の為替見通しに関しては、レポートの完全版をご覧ください。
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