<テクニカル分析判断> サマリー: ●短期:「上値トライ」継続の可能性が高い中、根強い上昇圧力にも徐々に翳りが出来 ●中期:依然強調維 […]
Weekly Report(5/27):「ドル円、米4月PCE価格指数や介入実績公表など“嵐の金曜日”を挟み方向感試す」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は5月20 日週に1.70円と、その前の週の3.18円から縮小した。週間ベースでは、反発。ドル円は4月の米輸入物価指数など物価指標が強含んだ流れや早期利下げに否定的なFed高官の発言を受け、週を通して緩やかに上昇した。5月23日には、日銀が国債買い入れ額を17日に続き据え置いただけでなく、米5月総合PMI速報値が2022年4月以来の高水準を記録したため、157.22円まで上値を拡大。大台手前で週を終えた。
- 5月FOMC議事要旨では、インフレ鈍化への確信が持てないため、金利を長期にわたり据え置く姿勢が示され、タカ派的だった。ただ、3月FOMC議事要旨に続き、予想外に労働市場が減速した場合は利下げが適切との見方を維持。経済動向次第で、金利据え置きあるいは利下げ、いずれの選択肢を講じる「好位置」にいると解釈できる。なお、エコノミストは9月利下げ開始の年内2回利下げ、FF先物市場では11月か12月の1回の利下げを予想するが、こうした姿勢を反映したものだろう。
- 政府・日銀は、4月29日と5月1日(日本時間の5月2日午前5時過ぎ)の2回にわたり、介入を行ったと目されている。5月31日は、外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)が公表され、答え合わせとなりそうだ。日銀当座預金の予想などに基づけば、約8兆~9兆円の介入が見込まれるが、前回2022年9~10月の介入規模が9兆1,880億円だっただけに、9兆円超えならば介入限界説が再燃し、ドル円を押し上げうる。同日には、日銀買いオペ、米4月PCE価格指数を予定するだけに、乱高下に注意すべきだ。
- 今週は、28日に米5月消費者信頼感指数、29日に米地区連銀報告(ベージュブック)、30日に米Q1実質GDP成長率・改定値、31日に5月東京都区部消費者物価指数、本邦4月失業率と有効求人倍率、外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)、日銀買いオペ、米4月PCE価格指数などを予定する。特に31日は、前述したようにドル円の方向性を占う上で重要イベント目白押しとなり、まさに「決戦は金曜日」状態。しかも、31日は週末・月末を迎えるだけに、急変動があってもおかしくない。
- テクニカル的に、ドル円は強気のパーフェクト・オーダー(21日から200日など移動平均線が全て上向き)、上向きのボリンジャー・バンド、ダウ理論の上昇トレンド(上昇過程で安値を切り下げず、上方向を維持)を形成する。また、4月高値と5月安値の61.8%戻しがある157.04円を一時的ながら上抜けし、MACDはMACDがシグナル線を超え、ゴールデン・クロスを達成し、引き続きテクニカル的な地合いは非常に強い。とはいえ、4月29日に介入があったとされる戻り高値がある158円手前では介入警戒が改めて意識されよう。
- 以上を踏まえ、今週の上値は158円、下値は一目均衡表の転換線がある155.10円と見込む。
1.為替相場の振り返り=ドル円、日銀買いオペ据え置きと米5月総合PMIの強含みで一時157円乗せ
【5月20日~24日のドル円レンジ:155.50~157.22円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は5月20 日週に1.70円と、その前の週の3.18円から縮小した。週間ベースでは、反発。ドル円は4月の米輸入物価指数など物価指標が強含んだ流れや早期利下げに否定的なFed高官の発言を受け、週を通して緩やかに上昇した。5月17日にはバー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長やアトランタ連銀総裁、サンフランシスコ連銀総裁など据え置きの長期化について言及。5月23日には、5月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも同様の見解が示されただけでなく、必要とあれば利上げも選択肢とタカ派な内容で、買いを促した。5月23日には、日銀が国債買いオペで金額を17日に続き据え置いただけでなく、米5月総合PMI速報値が2022年4月以来の高水準を記録したため、157.22円まで上値を拡大。翌日も157円挟みの展開が続き、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値の1年先インフレ期待が低下すると156.80円台へ下落しつつも、大台手前で1週間を終えた。
チャート:ドル円の4月以降の日足、米10年債利回りは緑線(左軸)
(出所:TradingView)
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