【12/5】1週間の振り返り
【12/5】1週間の振り返り
安田 佐和子
この記事の著者
安田 佐和子
ジーフィット為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライトなどのTV番組に出演し、日経CNBCやラジオNIKKEIではコメンテーターを務める。その他、メディアでコラムも執筆中。

アナリストレポート

 Executive Summary

  • ドル円は11月28日~12月2日週に139円後半から133円後半へ、約6円も急落。
  • 11月FOMC議事要旨の内容を受け利上げ幅が0.75%→0.5%となる見方が強まった上、11月30日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受け、12月13~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%へ利上げ幅を縮小する公算が大きくなり、ドル円に下方圧力が加わった。また、テクニカル的な下落サインが点灯していることも、ドル円の売りを促した。
  • 米10月PCE価格指数や米11月ISM製造業景況指数など物価と景気の鈍化を示唆する内容も、米利上げ幅縮小観測をサポート、ドル売り材料に。
  • 米11月雇用統計が発表された12月2日、ドル円は133円後半から136円近くへ急騰。非農業部門就労者数(NFP)が前月比26.3万人増と市場予想の20万人増、平均時給が前月比0.6%上昇し、こちらも市場予想の0.3%を上回り、FRBが2023年以降も利上げを余儀なくされるとの懸念を高めた。
  • ただし、NFPの雇用増加分の約4割が娯楽・宿泊に含まれる食品サービスだったほか、民間サービス11業種のうち4業種で雇用が減少し、雇用の増加が一部に偏り、労働市場が必ずしも好調と言えないと判断された。また、平均時給の上昇ペース加速も解雇手当の増加による一時的要因と見直され、ドル円は134円へ戻した。
  • 今週は12月13日公表の米11月消費者物価指数、12月13~14日開催のFOMCを控え、前週より変動幅は限られよう。ただし、テクニカル的な下落サインが点灯するなか、下値トレンド継続と見込む。下値の目途は、年初来の上げ幅の半値押しにあたる132.70円付近に。

今週の為替相場の振り返り=ドル円、一時約3カ月ぶりに133円台へ下落

【11/28-12/2のドル円レンジ:133.62~139.89円】
・ドル円は11月28日に139円付近でスタート、11月23日に公表された11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が意識され、ドルの上値は重くなっていた。

(ご参考:11月FOMC議事要旨のポイント)
①FOMC参加者の大半が利上げペースの鈍化が近いうちに適切になる可能性が高いと判断
②金融政策が実体経済にもたら影響はラグをもたらす(利上げ幅縮小の根拠のひとつ)

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