【1/23】今週の予定と為替見通し
【1/23】今週の予定と為替見通し
安田 佐和子
この記事の著者
安田 佐和子
ジーフィット為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライトなどのTV番組に出演し、日経CNBCやラジオNIKKEIではコメンテーターを務める。その他、メディアでコラムも執筆中。

アナリストレポート

今週の経済指標予定

・赤字が最重要、青字がある程度重要な経済指標 orイベントとなる。

為替見通し:ドル円、日銀の金融政策決定会合後に125円割れも

【1月23~1月27日週の為替予想レンジ:127.50~131.10円】

ドル円は前週、筆者の想定通りレンジを切り下げたとはいえ、日銀が据え置きを決定したため125円割れを試すことはなかった。今週も、来週1月31~2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を予定するだけに、一段安は回避されよう。また、今週は1月26日に米22年10~12月期実質国内総生産(GDP)成長率に加え、米12月個人消費支出、同個人所得、同PCEデフレーターなどを控える。結果次第で急変動するリスクがあるものの、前週のレンジ内でもみ合いながら推移するのではないか。
 レンジ内でのもみ合いを予想する理由は3つ。1つ目は、1月22日付けのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の報道だ。Fed番記者として著名なニック・ティミラオス記者によれば、次回FOMCでFedは利上げ幅を前回の0.5%から0.25%へ縮小する見通し。また、インフレ減速を受けて利上げの最終地点、ターミナル・レートについても協議するという。2022年12月FOMC時点で、2023年の利上げは5.0~5.25%と予想されていた。足元、セントルイス連銀のブラード総裁やクリーブランド連銀のメスター総裁など、タカ派のFed高官から5%超の利上げが必要との発言が聞かれる一方で、別のタカ派寄りなFed高官から利上げ打ち止めを示唆する発言が飛び出している点に注目したい。その筆頭はウォラーFRB理事で、1月20日に次回会合での0.25%利上げに支持表明しただけでなく「米金利は、十分に制約的な水準に近い可能性がある」と利上げ終了が近いとの示唆を送った。米12月小売売上高など一連の指標を受けた景気や物価の減速を意識した同氏の発言に支えられ、1月20日のFF先物市場では、引き続きターミナル・レートを4.75~5.0%と22年12月FOMC時点の予想以下となっており、ドル円の上値を抑えよう。FF先物市場では今年11月の利下げ転換、12月の追加利下げの見方に再び傾斜している点にも留意したい。

チャート:FF先物市場、ターミナル・レート4.75~5.0%、11月利下げ転換と12月の追加利下げの見方に傾斜

  また、ベージュブック(地区連銀報告、12地区連銀による景況報告)での物価上昇ペースのさらなる鈍化が見込まれ、さらに企業間における景気後退への懸念の強まりが明らかになった。ドル高により観光収入や製造業活動の圧迫が報告されるなど、実体経済に利上げの悪影響が及びつつある。ベージュブックは、FOMCで協議される材料となるだけに米経済指標の鈍化と合わせ、今後の利上げ幅縮小、利上げ打ち止めの議論に影響を与えうる。

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