
テクニカル分析判断 先週は「寄付136.40:135.25~137.09:終値135.81(前週末比▲0.60円の円高)」の推移となり、小幅 […]
<ご案内> 最初に当Weekly Reportの掲載に関しましてご案内させて頂きます。
来週11月6日(月曜)は筆者都合により休載とさせて頂く予定です。
次回配信日は、11月13日(月曜)となりますので何卒よろしくお願い申し上げます。
==============================
先日当レポートの読者の方から「テクニカルでもファンダメンタルズでも
圧倒的にUSD高/円安を示唆する要因が多い中、本当にUSD/円のピークアウトは
接近しているのか?」とのご質問を頂戴しました。 ご質問、誠にありがとうございました。
ここひと月ほどのレポートには、今回のご質問の回答となるような要因(理由)を
指摘してきたつもりでしたが、上記のご案内の通り次回のレポートまで
1週空いてしまいますので、今週は改めてご質問への回答を中心に我々の
分析・判断をお伝え致します。
いきなり私事で恐縮ですが、30年程前のNY駐在時に、ある著名な株式ストラテジストから
ある相場格言を聞いたことがあります。(現在もそうですが)当時から、私は相場の予測分析を
行う際に「現在の市場コンセンサスは本当に正しいのか?」という(まずコンセンサスを
疑ってみる)スタンスで臨んでいました。そのため「That’s what I thought!(やっぱり、
そうですよね~!)」と膝を叩いて賛同しました。 その格言が以下になります。
「Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism,
mature on optimism and die on euphoria.」~ John Templeton ~
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑と共に育ち、
楽観の中で天井をつけ、幸福感と共に息絶える」(筆者意訳)
これは「上昇相場を4つの段階にわけて解説」したものですが、より具体的には。。。
1)市場が総悲観となった局面こそが、強気相場の出発点になりやすい
2)先行きに警戒感や疑念(懐疑)が残るうちは、上昇が継続しやすい
3)警戒感が薄れ楽観的になり切った頃、相場は天井を迎えやすくなる
4)市場が幸福感に浸り総強気になっている時、上昇相場は完全に終わる
という趣旨の格言とされており、上昇・下落に拘らず、我々が「相場の転換点」を見極める際に
常に意識しているポイントでもあります。
そうした視座を中心に、様々なデータや市場参加者の声などを分析した上で、総合的に
現在のUSD/円相場を判断すると、我々の結論は『現在は3)から4)のステージにあるのでは』
ということになっています。昨今のレポートで『ピークアウトが接近』というフレーズを多用
しているのはそのためです。
「いや、まだ2)のステージのど真ん中だ!」とのお考えの方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、経済指標の評価や多種多様なテクニカル分析手法に対しては、どの観点に重きを
置くかで最終的な見通しや判断も多少にかかわらず異なるものだと理解していますし、
ある時点でのその判断の正邪(?)を論じることにあまり意味は無いと考えています。
その点で申し上げれば『市場で取引されているレート(価格)が正しい』ということに
なるのでしょう。市場取引価格そのものが、多数の市場参加者の様々に異なる判断(見通し)を
全てコミコミで反映した唯一のものだからです。
既述を前提として、今号では「市場コンセンサス」と我々の判断ロジックとの相違点を中心に
今後の見通しをご案内して参りたいと思います。
==============================
<テクニカル分析判断>
サマリー:
●短期:根強い上昇圧力の残存で上値模索は継続も、自律的調整圧力が着実に顕現化
●中期:根強い上昇圧力は残存も、自律調整を契機とするピークアウトは着実に接近
先週は「寄付149.85:149.31~150.77:終値149.64(前週比▲0.21円の円高)」となり
週足(後掲➋参照)で3週ぶりの陰線を形成し、想定していた自律調整の兆しが見られた。
しかしながら、3週前に「前週比での高値更新は10週連続で(一旦は)終息」していたが、
先週は150.77円まで上昇し年初来高値を更新しており「上昇圧力は依然として根強く存続
している」こともまた示唆されている。これは、10月に入って指摘し続けていたように、
<月足(後掲➌参照)では「先月9月の終値(149.34)が昨年10月の終値(148.75:終値ベース
で32年ぶり高値)」を更新していたことで高値(151.95円@ザラ場)の更新も充分に視野に
入りうる状況> だったことが影響していると思われる。
なお、3週前の2.88円から2週前に1.65円、前週が1.27円と再び縮小に転じていた週間
レンジは先週1.46円と僅かに拡大したものの我々が「そろそろ」と想定していた変動率の
顕著な高まりはまたしても見られなかった。
一方で、上昇/下落の過熱を示唆するRSIやストキャスティクスはかなり警戒すべき水準
へと上昇(週足RSIは70超が継続)していたため、日足や週足では自律調整的な動きの兆候
が認められる。(10/26に150.77まで上昇⇒週末149.64に反落してNY市場はクローズ)
もちろん、数多のテクニカル指標の大半が示すように「上昇圧力の根強さは依然として
強力」であり今週も「上値トライ継続」の可能性は否定できない。ただし、既述の通り
徐々にではあるものの「上昇圧力の翳り・調整圧力の高まり」も顕現化しつつあるため
ピークアウトが接近している(訪れた)可能性は常に念頭に置いておく必要があろう。
テクニカルも分析手法が多種多様なため、どの観点に重きを置くかで最終判断も様々に
異なりやすいが、当レポートでは「出来るだけシンプルな手法」を定点観測の観点から
継続している。
以下では『短期・中期・長期の方向性』について各時間軸チャートによるテクニカルな
視点を中心にご案内。(今号の分析は2023/10/27のNY市場終値をベースに実施)
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド」、「52MA & 200MA」、RSIを付記
短期(1週間~1か月弱)の方向性:上昇圧力は残存の一方、自律調整的下落サインが点灯か
〇3月下旬から52MAとほぼ同じ傾きで続いている上昇トレンドは崩れる気配は無く依然と
して根強い上昇圧力が継続中であることは間違いない
●但し、直近3ヶ月弱終値で一度も下回れずに強力な支持線となっている21MA(赤い太線)
は今週149.50近辺に上昇するため現在値との差は一段と縮小。仮に21MAを終値で下回る
展開となれば、下落が加速しやすくなり中期的なピークアウトに繋がる可能性が高まる
>>チャートの黒とエンジの太い〇部分参照。21MAを終値で明確に抜けると勢いは加速する
☆これは直近6ヶ月の動きを抽出(拡大)したもの。表記内容は上のグラフとほぼ同じ
⇒仮に21MAを終値で下回った場合の下値目標:1) 148.23(52MA)、2) 147.27(10/3の安値)
>>8月末から9月にかけ、ザラ場で21MAを下回る局面があった(緑の枠)が、数日後には
その日の高値を更新。⇔ 直近の事例では10/3の高値更新に3週以上の時間を要した
●ここ数週の小動きでRSIは60台で安定も先週末下落。ストキャスティクスも同様に
下落し『高水準で緑線が赤線を下抜け(=下落サイン点灯)』したと判断できる
□上値模索継続可能性は残るが「ピークアウト(転換点)にも着実に接近中」と認識
☆これは2021年1月から6ヶ月の動きを抽出(拡大)したもの。
◎現在の週次レポートとは形式が異なってはいたが、我々は2021/1/11週のレポートにて
「日足21MAを終値で上回った & ストキャスティクスで買いサイン点灯」(左の金色太枠)
を根拠として「上昇トレンドへの転換」を指摘(3週後に週足・3月に月足でも確認)した
●現在は、当時とは全く逆方向での環境が整いつつあると認識
>>>想定レンジ=今週:147.75~151.05 、今後2週間:146.25~151.05 、
=今後1ヶ月:142.20~151.05 =
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSIを付記
中期(1か月~半年程度)の方向性:短期から自律調整的下落圧力が波及する可能性あり
●ここ5週70超に張り付いていたRSIと共に、ストキャスティクスは『高水準で
緑線が赤線を下抜け(直近の太い黒枠部分=下落サイン点灯)』したとの認識
>>短期的にも自律調整的下落始まった可能性があり、中期にも波及してくると判断
□上値模索継続の可能性は残るものの「ピークアウト(転換点)に着実に接近」と認識
☆これは2021年1月から現在までの動きを抽出(縮小)したもの。
◎既述の通り、我々は2021/1/11週のレポートに続き「週足21MAを終値で連続して
上回った & ストキャスティクスで買いサインが既に点灯」(左の金色太枠)を根拠
として「上昇トレンドへの転換」を指摘(3週前に日足・3月に月足でも確認)した
●現在は、当時とは全く逆方向での環境が整いつつあると認識
>>> 今後6か月間の想定レンジ = 138.80~151.50 ⇒ 138.00~151.50 =
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!