Weekly Report(3/4):「今後のトレンドを見極める局面が依然として継続も、長期的には上方に優位か?
吉岡 豪麿
この記事の著者
ジーフィット 取締役CAO

国内大手金融機関の外国為替取引部門で外国為替、外国証券等のディーラーとして20年、海外金融機関でアセットマネージャーとして15年以上の経験を有する為替のエキスパート。貿易企業の経営者を経て、企業年金基金の資産運用を担当。2021年1月よりCAOとして投資助言部門を担当。

マーケット分析

<テクニカル分析判断>   

●短期:想定通り「速度調整的な反落局面」が示現も、その程度は極めてマイルドに止まる

●中期:今後の中長期トレンドを決定づける重要局面続くも、長期的には上方に優位性高し

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先週は「寄付150.48:149.20~150.84:終値150.12(前週比▲0.39円の円高)」となり、週足では5週ぶりの陰線を形成。短期的には「速度調整的な反落局面が接近」との想定が示現したものの、その度合いは我々の想定を大幅に下回り「極めてマイルドなもの」に止まっている。その意味では「5週ぶりの陰線」では下落圧力の強さを強調することは出来ず、むしろ「USD買い/円売り圧力の根強さ」を改めて認識させられることになったとも言える。

ここ2週ご案内している通り「『かつての上値抵抗帯(上限149.85)を終値で上抜け150円台に突入した』ことで、むしろ「2022年10/21の高値(151.95)と昨年11/13の高値(151.92)で形成されていたはずの『ダブルトップ』の水準すら突破する可能性が高まりつつある。上図でも分かる通り「➊と➋を結んだ2023年の上昇トレンドラインは今年に入っても重要な下値支持ラインとして機能(➌で下げ止まった後急反発)」しており、時間の経過と共に通常の推移レベルをゆっくりと上方に押し上げている

我々がかねてより維持している『(数年単位の)超長期トレンドは円安』とのシナリオは「再開前に中期的USD下落局面を挟む」としていたが、その局面は上図➌で終了した可能性を考慮すべき状況にある。

一方、短期的には「RSIの一時70突破やストキャスティクスのピークアウト兆候」(後掲➊ご参照)など、強い上昇力にも疲弊が窺われていたが、想定通り“速度調整的な修正(下落)局面”は見られた(ている)。ただし、既述の通りその度合いは非常にマイルドなものに止まっている。

繰り返しとなるが、我々は現在『中長期見通しの本格的な修正』を行っている。その方向性等については後掲➋をご参照頂きたいが、<テクニカルには(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面を迎えており、今後数週間の推移はまさに『刮目が必須』>との状況が続いている。

なお、2月以降週間で2円未満に縮小してきた週間レンジは、先週も1.64円と落ち着きを継続。ただし、穏便な展開に慣れてきた分、昨年11月から今年1月まで続いた「上下どちらにも大きく振れ易い」展開が再度出現する可能性が高まりつつある。この点でも今後数週間の推移が注目されよう。

以下では『短期・中期・長期の方向性』について各時間軸チャートによるテクニカルな視点を中心にご案内。(今号の分析は2024/03/01のNY市場終値をベースに実施)

<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>

➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド」、「52MA & 200MA」、RSIを付記

短期(1週間~1か月弱)の方向性:速度調整的反落が示現も、その度合いは今のところマイルド

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「上値抵抗線に転化したはずの21/52/200の各MA」は全て下値支持線へと再度逆転。先週も21MAへの下抜けトライあるも、結局終値ベースでの21MA下抜けはならず根強い押し目買い圧力を確認

一方で、「RSIの一時70突破やストキャスティクスのピークアウト兆候」など短期的な速度調整局面入り・継続も観測されている

>>>想定レンジ=今週:148.65~151.95 、今後1ヶ月:145.80~152.85 =

➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSIを付記

中期(1か月~半年程度)の方向性:天井形成か再上昇か、今後のトレンドを決める重要局面続く

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2週前まで「(年初来の急速な)反発局面がピークアウトしつつある」と見ていたが、むしろ「2022年10/21の高値(151.95)と昨年11/13の高値(151.92)で形成されていたはずの『ダブルトップ』の水準すら突破する可能性が高まりつつある

ただ、RSIは上昇余地を残してはいるもののストキャスティクスは既に要警戒領域に突入し、上記➊でも指摘の通り、少なくとも『速度調整局面入り』の可能性は依然として残存

結果として、今週も上下双方に振れる可能性があり『152円台へ上昇できるのか、はたまた(速度)調整局面に入るのか』が問われることとなり、テクニカル的に「(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面」を迎えている(以下、検討すべき2つのシナリオ)

シナリオ①(大幅上昇し152円台を示現した場合)2023/1/16(127.22円)を起点とする長期的な上昇(トレンド)は、同11/13(151.92円)で一旦上昇波#1’を終え、同12/28(140.24円)で調整波#2’を形成。このケースでは『新たな上昇波#3』を構築中ということになる(⇒目標値165円?)

シナリオ②(速度調整局面入りから21MAを目指す推移となった場合) “調整波B?”は確定し「“調整波B(反発)⇒調整波C(下落)”開始」の可能性がある(⇒ 目標値=少なくとも140円以下?)

<<エリオット波動理論では「下降波(C)は下降波(A)の下値(140.24)を下回る」ことで完成するため

>>> 今後6か月間の想定レンジ 138.45~151.95 ⇒ 144.00~154.80 =

➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記

長期(半年超~1年程度)の方向性:超長期上昇トレンド再開の時期は今後数週の推移で決まる

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想定通り昨年12月は一昨年12月以来の大幅な陰線を形成し、1年をかけたダブルトップ形成を確認

しかし、年明け以降1-2月の急反発によって「昨年11-12月急落分の9割弱を既に回復」しており、長期的な上昇圧力の強さに今のところ著変はなさそうだ

ただし、➋でも言及した通り「(現時点では)中長期のトレンドは依然両にらみ」と判断

>>>「根強い上昇圧力」<⇔>「RSIは充分な低下余地」

だが「2024年中の後半には底打ち」としていた(超長期トレンドである)「円安USD高」方向への反転上昇が(足許では)かなり早まる可能性が高まりつつある(上記➋参照)

>>>これまでも主張してきた通り、我々は「(数年単位の)超長期上昇トレンドが本格化する前に『中長期的下落トレンドに入る』可能性が高い」をメインシナリオとしていた

繰り返しとなるが、その根拠は主に以下の3点(チャートは2018年12月からの推移)

<=2022年10月は「20MA+18%と60MA+30%を同時に上回る」という過去40年以上経験したことのない「異常な(上昇の)過熱状態」にあった

<=一時90超まで過熱したRSIは、一旦70.1まで再上昇もその後概ね60台(先週末63.3)で推移

=>超異常状態からの反落だけに20MA突破から60MAに向けた軟化/下落を依然見込んでいた

=>昨年11-12月の急落で年末/年始に「20MAに急接近」。「超異常状態からの反落(調整)はこれで一定の目標をクリア」することになったとの判断は可能か?(未だ確信は持てないが…)

>>> 今後1年間の想定レンジ = 138.45~154.80 ⇒ 144.00~158.55 =

<ファンダメンタルズ分析判断>

□先週の日米金融市場は「株式上昇、債券利回り(金利)は概ね低下、若干円高」(下表右端)

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【米国】週間の変化

■主な経済指標:強弱マチマチなるも、下ブレ評価優勢

●米1月耐久財受注(前月比):▲6.1%(市場予想は ▲4.5%)

●同上(除く輸送用機器)(前月比):▲0.3%(市場予想は +0.2%)

●米2月消費者信頼感指数(コンファレンスボード):106.7(市場予想は115.0)

●米2月ISM製造業景況指数:47.8(市場予想の49.5を大幅に下回る)

>>>16カ月連続で50割れ。分岐点割れの長さは2000年8月から2002年1月以来最長

●米2月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値):76.9(市場予想は79.6)

>>>2021年7月以来の高水準だった前月から大幅に予想比下ブレ

=>全体として、今後の景況感に関わる景気指標を中心に「予想比下ブレ」が目立った

〇米10-12月期GDP個人消費 改定値(前期比年率)+3.0%(市場予想は +2.7%)

〇米1月個人所得(前月比):+1.0%(市場予想は+0.4%)

◇債券利回り: 上記景気指標とFRB当局者の現状追認的発言に金利は長短共に低下

>10年債利回り:2/23  4.248% ⇒ 3/1  4.180%(前週比▲0.068%低下)

> 2年債利回り:2/23  4.690% ⇒ 3/1  4.531%(前週比▲0.159%低下)

=>10年-2年の逆イールドは「▲0.351%へ前週比で大幅に縮小」(下表)

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◇先週、FRB当局者からは「利下げは急がないが“年内に開始”し“年3回程度”が妥当」と、現状追認的な発言が主流となった

>>>鈍化気味の景況データと併せ、政策金利先物市場では利下げ開始時期は6月が過半(56%程度)となった上で年内の利下げ回数は3回と、昨年12月FOMC時点での予想中央値と一致

□株式市場:堅調維持。S&P500とナスダック総合は終値でも最高値更新❢

☆注目される人工知能(AI)関連銘柄への買いが続き、2月の主要3指数は揃って4ヶ月続伸

☆特に半導体大手エヌビディアは3/1の終値で時価総額が初めて2兆ドルを突破

<<<先週末も S&P11業種のうち、テクノロジー株が1.78%と、最も大きく上昇して指数を牽引

<⇔>一方、地銀のニューヨーク・コミュニティー・バンコープはこの日▲26%の急落。同行は前日、「経営陣が内部管理に重大な脆弱性があることを確認した」と表明していたが、基本的にはかねてより指摘してきた「米商業不動産問題」があることは明白。「ソフト(ノー)・ランディング」が大前提となっている米景気に対し、今後もこの問題は折に触れて警鐘を鳴らすことになると思料

【日本】週間の変化

□主な経済指標:少数かつ強弱マチマチなるも、若干上ブレ評価優勢

〇日1月消費者物価指数(CPI)(前年比):+2.2%(市場予想は +1.9%)

〇同上(除く生鮮食料品・エネルギー)(前月比):+3.5%(市場予想は +3.3%)

◇債券利回り:週間では短期が上昇、長期はほぼ横ばい

> 2年債利回り:2/22  0.166% ⇒ 3/1  0.190%(前週比+0.024%上昇)

>10年債利回り:2/22  0.715% ⇒ 3/1  0.710%(前週比▲0.005%低下)

<<<日銀の高田審議委員・植田総裁からは「金融正常化に向けた状況判断」でやや相違点の目立つ発言が見られた

◇主要株価指数:揃って5週連続上昇。日経平均は最高値更新継続で4万円間近❢

>TOPIX:前週末比+1.8%高

>日経平均株価:前週末比+2.1%高

USD指数は週間ベースで年初来初の下落となった先週から「僅かに続落」

<<< 景況感の悪化に加え、FRBの「利下げ観測後ズレ」にも一服感が台頭

⇒ 短期的には、年初来のUSDの騰勢にも翳りが見え始めた

⇒ 小幅ではあったものの、円は対USDで5週ぶりの上昇

先週も触れましたが、ここ数週は「今後の『中期~超長期のトレンド』を決定づける重要な局面が続く」と考えています。「日米の金融政策決定会合(FOMC)」が行われる3/18の週がその天王山と思われますが、今週は日米ともに非常に重要なイベントが多く、3/18週に次いで市場の注目を集める週となりそうです。

今週予定されている日米の主要経済指標発表とその他イベント(時系列)

・3/5:日本2月東京都区部消費者物価指数(CPI)

・3/5:米2月ISM非製造業景況感指数

・3/5:米1月製造業新規受注指数

・3/5:米大統領選 スーパーチューズディ

・3/6:米2月ADP全米雇用統計レポート

・3/6:米1月JOLTS雇用動態調査

・3/6:米3月地区連銀経済報告(ベージュブック)

・3/6:米パウエルFRB議長下院議会証言

・3/7:米1月貿易収支

・3/7:米大統領一般教書演説

・3/7:米パウエルFRB議長上院議会証言

・3/8:米2月雇用統計

この中で、我々が注目しているものを幾つか取り上げてみます。

3/5:日本2月東京都区部消費者物価指数(CPI)

>>>これは1月分が予想以上に減速し「日銀の政策修正観測を和らげる原動力」となった要因。

仮に、物価上昇の減速が改めて確認されれば「日銀に対する早期の政策修正期待が後退」し円安を促す要因となる可能性があります。

>>>一方、物価に関連しては、マイナス金利解除やイールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃に向けた地ならしが進む中で「金融正常化に向けた状況判断」について、植田総裁や中川審議委員の発言が予定されています。特に、昨年9月以降、公の場に殆ど登場しなかった中川審議委員の物価・経済見通しに対する認識(「物価安定の目標が持続的・安定的に達成されたと判断するまでは至っていない」)が変化しているかどうかか注目されます。先週の高田委員に続き市場の修正期待を高めることができれば、3月修正への憶測を強め「円安修正の契機」となるかもしれません

3/5:米大統領選 スーパーチューズディ

「トランプvsバイデン」の構図がより鮮明となる中、『もしトラ』の議論がより喧しくなってきそうな状況。トランプ氏の1期目や現在公表しているかなりエキセントリックな政策を考慮すれば、少なくとも当初は「もしトラ=USD高円安」とされる可能性が高そうです。

・3/6,7:米パウエルFRB議長の議会証言

(ジーフィット為替アンバサダー/安田佐和子氏の今週のウィークリーレポートより抜粋)

「今週は、パウエルFRB議長による半期に一度の金融政策に関する議会証言(旧ハンフリー・ホーキンス証言)が行われ、米下院金融サービス委員会で3月6日、米上院銀行委員会で3月7日に開かれる。3月19~20日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に、利下げ姿勢を含め極めて重要なイベントとなることは間違いない。

 足元のFed高官の発言を踏まえると、年内利下げの方向に変わりはないだろう。また、利下げの時期については当然明言を避けるだろう。ただ、①足元で弱含みとなった米経済指標、②米商業不動産問題――に配慮するならば、タカ派的な発言で市場を攪乱させるとは想定しづらい。」

>>>我々の見立てとほぼ同一のため、転載させていただきました。

・3/6,8:米2月雇用関連指標

月初とあって恒例の米雇用関連指標も目白押し。1月の米個人消費支出(PCE)価格指数は鈍化したものの、住宅とエネルギーを除くサービス業の価格指数は前月比0.6%上昇と、2022年3月以来の大幅な伸びとなり、FRB高官のインフレへの警戒感も中々後退しづらい状況です。現状の彼らの発言を踏まえると、利下げが5月へ前倒しされる可能性は殆どないため、現在の市場コンセンサスとなりつつある6月利下げの確率が更に高まるのか、それとも7月以降に後ズレしていくのかを、一連の経済指標を通じて見極めることになりそうです。

ただ、米国の景気については(従前より指摘している通り)「市場のコンセンサスより弱気」の見立てを維持しています。これを背景に(ファンダメンタルズ的には)「今後米金利とUSDには低下圧力が増幅して行く」との見方にも大きな変更はありません

しかし、そうなると<ここ数週は「今後の『中期~超長期のトレンド』を決定づける重要な局面が続く」>との位置づけが変化するわけではないものの、今週のテクニカル分析での結論である「数年単位の超長期トレンドである『円安USD高』が本格的に再開するリスクが高まりつつある」との理論的整合性がとり辛くなってきます

長いだけの経験から申し上げると、こうしたケースは『相場の分岐点』ではよくあることですが、今後数週間は通常より「刮目」の度合いを大幅に引上げて市場に対峙・分析してゆく所存です。

お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心とした見通しについては、ジーフィット為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方はサイト内で、是非ご参照下さい

なお、安田氏のレポートをご覧になれない方のために、彼女のレポートから図表を幾つかご紹介する許可を得ましたので、最後にご案内させて頂きます。以下は、全て今週の安田氏によるウィークリーレポートより抜粋したものです。(概ね、現状ではUSD安円高材料です)

チャート:日米10年物の金利差とドル円

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チャート:日米10年物の金利差とドル円の理論値

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―ドル円のテクニカルは強弱ミックス、円ショートは2014年以来の高水準に

 今週は3月5日に中国2月財新サービス業PMIを始め、米2月総合PMI改定値や米2月ISM非製造業景況指数、6日に米2月ADP全国雇用者数や米1月雇用動態調査(求人件数含む)、パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での議会証言などを控える。さらに、7日に中国2月貿易収支、欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表、パウエルFRBの米上院銀行委員会での議会証言、8日に米2月雇用統計を予定し、重要イベントが目白押しとなる。ドル円は、テクニカル的に三役好転を維持し、それぞれの移動平均線も上向き力強い地合いが続く。一方で、2023年12月と2024年2月のそれぞれの安値を結んだ支持線を割り込んだほか、2月29日には一時的ながら強力な支持線だった一目均衡表の転換線や21日移動平均線も割り込み、テクニカル的には強弱ミックスの様相となってきた。週の終値ではそれぞれの支持線を上回って引けたものの、イベント目白押しの3月6日週に150円台を中心とした狭いレンジから離れる可能性を残す。

投機筋による円のネット・ショートは2月27日週に13万2,705枚と、前週の12万778枚から拡大した。150円前後の推移を維持するなかでショートを積み増した結果、ネット・ショートは2023年11月14日週の13万249枚を超え、2014年以来の高水準となった。日米金利差や意識した円キャリー継続、日本株高による外国人のヘッジの円売りが意識される半面、ドル円が151.91円をつけた当時以来の水準までショートが積み上がるだけに、さらなるショート拡大余地が残っているかは不透明と言えよう。

チャート:投機筋のネット・ショート、2023年11月14日週を超え2014年以来の高水準

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