豪中銀と政策金利
マーケット分析
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オーストラリア準備銀行

 オーストラリア準備銀行( Reserve Bank of Australia、略称:RBA)はオーストラリア連邦の中央銀行であり、同国のオーストラリア・ドルのポリマー紙幣唯一の発券銀行であります。

 RBAは中央銀行として金融政策を担っており、金融政策の目的は①通貨価値の安定、②最大雇用の維持、③経済的繁栄と人々の幸福と法律で定められています。

 1993年以降、金融政策の実際の目標として、消費者物価の上昇率を年2-3%に安定させることが明確にされました。RBAは、中長期的な物価の安定を通じて持続的な経済成長を促すことを目標にしています。

 物価上昇率を政策目標のひとつとする政策は「インフレ・ターゲット」と呼ばれ、米国、ユーロ圏をはじめ主要国で導入されています。日本でも「2%の物価安定の目標」として同様の政策がとられています。

 一般に、物価安定を図る政策手段のひとつは「政策金利」です。物価が高騰する場合は、「政策金利」を引き上げ、借入を抑制することなどで景気と物価を冷やす措置をとります。逆に、景気が落ち込んで物価が上がりにくい場合は、「政策金利」を引き下げて景気を下支えします。

コロナ危機下でRBAの取り組み

RBAはコロナ危機下で初めて非伝統的な手段による金融政策を実施しました。3 年物国債金利を短期の政策金利(キャッシュ・レート)並みに誘導するという「イールド・ターゲット(YT)」政策と、豪国債等を買い入れる「債券買い入れプログラム(BPP)」等を導入しました。

その後ほかの主要国同様にオーストラリアも高いインフレ局面に直面し、RBA は2022 年5 月より金融引き締めに転じ、これらの非伝統的手段はすべて解除・終了しています。

RBAメンバー

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RBA、コロナ禍後の政策金利

2019年前半は政策金利を1.50%への据え置きが続いたが、6月会合で米中通商対立の激化など世界の経済情勢の不確実性の高まりや国内のインフレ率や成長率の鈍化に対処するために約2年9カ月ぶりの利下げを行いました。コロナ禍前に0.75%まで追加利下げを行ったが、コロナ対策で2020年11月会合では過去最低の0.10%まで引き下げました。

そして2022年5月会合からインフレ対策として引き締めに転じ、据え置きを挟みながら2023年11月会合まで4.35%に引き上げました。その後の昨年12月と今年2月会合では政策金利の据え置きが決定されました。

近年の政策金利

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RBA金融政策の見通し

今年初の2月会合では政策金利を4.35%に2月連続で据え置きを決定し、声明文では「追加利上げの可能性は排除できない」としました。ミシェル・ブロックRBA総裁は、サービスの価格は高水準が継続しているとし、「インフレが目標水準に戻ることを確信するには、まだ時間が必要」との見解を示しています。今後に追加利上げ選択肢を残し、政策の次の一手に関して明言を避けていますが、インフレ率が鈍化傾向にあるため、今年半ばには政策金利の引き下げを行う可能性がありそうです。

24年RBA政策金利発表日程

・2月6日 4.35%に据え置き

・3月19日

・5月7日

・6月18日

・8月6日

・9月24日

・11月5日

・12月10日

※本記事は2024年3月11日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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