ドルインデックス、中期下落抵抗線が上値を抑制
山下 政比呂
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 為替情報部 アナリスト

証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

為替の仕組み

米ドルの総合的な価値を示す「ドルインデックス」は、「ヘッド・アンド・ショルダー」を完成させており、ボリンジャー・バンドでの売りシグナル「ヘッド・フェイク」出現で、下落途上にあります。

中期的には下落トレンドの抵抗線が上値を抑えており、売りシグナルが点灯中です。

ドルインデックスの下落は、ドルの下落、すなわち、ドル円の下落、ユーロドルやポンドドルの上昇を示唆しています。

ファンダメンタルズ面でのドル売り要因は、以下の通りです。

・トランプ政権の「外国為替報告書」:ドル高是正を標榜

・トランプ関税による関税スタグフレーションの可能性

・トランプ関税や米国債格下げを嫌気したドル離れ「トリプル安」の可能性

・米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの継続

【戦術(2025年6月10日週)】

ドルインデックス売り:@100 ⇒ ストップロス@102ドル

■外国為替報告書

強力な経済成長、破壊的な貿易赤字の解消、不公平な貿易慣行への対抗を特徴とする米国

の再活性化のため、為替市場への不当な介入など、競争上の優位性を助長する不公平な通貨慣行と戦う

■米国債格付け:トリプルA⇒トリプルB

米国債は、「AAA(トリプルA)」を剥奪されていますが、S&Pグローバルの「Capital IQ」モデルでは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の価格に基づき、米国債格付けを現行水準より6段階低い「BBB+(トリプルBプラス)」に相当する、すなわち、かろうじて投資適格級にとどまる水準だと示唆しています。

■関税スタグフレーション

■FOMCでの追加利下げ

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は2回、年末のFF金利誘導目標は3.75-4.00%となっています。(▲=マイナス)

・9月FOMC:▲0.25%=4.00-25%

・12月FOMC:▲0.25%=3.75-4.00%


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2024年6月10日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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