目次Executive Summary1.先週の為替相場の振り返り=ドル円は金融不安が広がり2.主な要人発言3. 主な経済指標結果4. 今週 […]
Weekly Report(2/26):「ドル円、米1月PCE価格指数次第で151円乗せも」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は2月19日週に1.09円と、その前の週の1.96円から縮小した。週間ベースでは、4週続伸。米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったショックから一転し、半導体大手エヌビディアの好決算後に米株高、日経平均最高値更新を迎えても、ドル円は高値圏でのもみ合いに終始した。Fed高官のタカ派的な発言の反応は限定的で、日本が休場だった23日のNY時間に一時150.78円まで上昇するにとどまり、前週高値の150.88円に届かなかった。
- 今週は27日に日本1月全国消費者物価指数や米2月消費者信頼感指数、28日に米10~12月期実質GDP改定値、29日に米1月個人消費支出(PCE)やPCE価格指数、3月1日に米2月ISM製造業景況指数などを予定する。また前週同様、Fed高官の発言を数多く控える。
- 特に、米金融政策を占う上で重要視されるのは、米1月PCE価格指数だ。クリーブランド連銀のナウキャストによれば、コアを含め鈍化トレンドをたどる見通しだ。しかし、米1月消費者物価指数(CPI)のように、市場予想から上振れすれば、151円乗せへトライしてもおかしくない。
- 中長期的にみて、米財政の悪化はドル円の押し上げ材料となりうる。米国の超党派機関である議会予算局(CBO)によれば、米連邦債務残高は2034年度に2023年度比84%増の48.3兆ドル、国内総生産(GDP)比では2023年度の97.3%→116%への拡大が見込まれている。純利払い負担も財政圧迫要因となり、2025年度にはGDP比で3.1%と、第2次世界大戦の規模を超え1940年以降で最大に膨らむ見通しだ。しかも、バイデン陣営もトランプ陣営も、2025年末に終了する年間所得40万ドル以下の個人を対象とした所得税減税を延長する方針で、財政悪化から米金利とドル円に上昇圧力を加えかねない。
- ドル円は、テクニカル的に三役好転を維持し、それぞれの移動平均線も上向き力強い地合いが続く。加えて、一目均衡表の転換線が強力なサポートとなっており、これも上向き強気のシグナルを点灯させている。さらに、筆者が前週指摘していたRSIが64.6と割高の節目となる70近くで推移しているとはいえ、小幅ながら上値余地が残る。
- その一方で、ボリンジャー・バンドの2σでのバンドウォークは中断したままだ。ここから上げ幅を広げるには、日本1月全国消費者物価指数の弱含みや、米1月PCE価格指数の上振れ、さらにはFed高官からのタカ派発言が必要となりそうだ。
- 投機筋による円のネット・ショートは2月20日週に12万778枚と、前週の11万1,536枚から拡大した。ネット・ショートは、ドル円が151.91円をつけた2023年11月半ば以来の高水準となった。日米金利差を意識した円キャリー継続、日本株高による外国人のヘッジの円売りが意識される半面、さらなるショート拡大余地は限定的になったようにも見える。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値はボリンジャー・バンドの2σの水準付近の151.60円、下値は21日移動平均線がある149.00円を見込む。
1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、米1月CPI後に2023年11月以来の150円乗せ
【2月12日~16日のドル円レンジ:148.93~150.89円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は2月19日週に1.09円と、その前の週の1.96円から縮小した。週間ベースでは、4週続伸。米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったショックから一転し、半導体大手エヌビディアの好決算後に米株高、日経平均最高値更新を迎えても、ドル円は高値圏でのもみ合いに終始した。FF先物市場で、利下げ開始時期が6月から7月にずれ込み、年内の利下げ予想も3回と2023年12月時点の米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想と一致するほど収斂されるなか、Fed高官のタカ派的な発言の反応は限定的。リッチモンド連銀総裁が21日に「1月のCPIや生産者物価指数は政策決定を複雑にする」と述べたほか、ボウマンFRB理事も「利下げの時期が今ではないのは確か」と述べるなか、日本が休場だった23日のNY時間に一時150.78円まで上昇するにとどまり、前週高値の150.88円に届かなかった。
日本の要人発言も、為替市場に概ね影響せず。植田日銀総裁は22日に「デフレではなくインフレの状態にある」。鈴木財務相が20日、22日に「為替市場の動向を高い緊張を持って注視」と発言したが、ドル円の高止まりを抑えられなかった。
チャート:ドル円の2024年以降の日足、米10年債利回りは緑線(右軸、右側)、ドル・インデックスは白線(左軸)
(出所:TradingView)
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