―Executive Summary― 目次1.前週の為替相場の振り返り=ドル円、中東情勢緊迫化で151円割れも米雇用統計で大台戻す【4月1 […]
Weekly Report(4/15):「米3月小売売上高や介入警戒がドル円の上値を抑えるかーG20も注意」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は4月8日週に1.82円と、その前の週の1.14円から拡大した。週間ベースでは、続伸。岸田首相が国賓待遇で米国を公式訪問するなか、4月10日に米3月CPIが市場予想を上回る結果になると、153円を突破し急伸した。その後も、バイデン大統領が後ずれする可能性を指摘しつつ、年内の利下げ予想を維持すると言及したが、反応薄。神田財務官が11日に「行き過ぎた動きにはあらゆる手段排除せず対応」と言及、鈴木財務相も同日に「あらゆる選択肢で対応」、12日にも同様の口先介入を続けたものの、影響は限定的。12日にドル円は一時153.59円と、1990年6月以来の水準まで切り上げた。
- 米3月CPI結果を受け、ウォール街のエコノミストは利下げ開始予想を従来の6月からQ3へ、年内の利下げ回数も3回から1~2回へ下方修正。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者、ニック・ティミラオス記者も、利上げについて「『いつ』行うのかではなく、『もし』できるならば、という問題に」との記事を配信。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者がインフレの道筋が凸凹と判断するならば年内利下げの余地はある一方で、3%膠着が続くようならば、利下げは見送る可能性と報じた。ただし、NY連銀総裁がインフレの道筋は「凸凹」と表現するなど、足元は利下げの方向に変わりはない。
- ドル円は岸田首相が国賓待遇で米国を公式訪問中に、153円乗せを実現した。帰国後、再び介入観測が強まってもおかしくない。また、4月25~26日開催の日銀金融政策決定会合で、追加利上げについての議論が活発化するシナリオにも留意すべきだろう。岸田政権が仮にドル円の一段高を回避する狙いがあるならば、4月18日にG20財務相・中央銀行総裁会議を控え、介入へ向けた理解を求める機会として活用する場合もありそうだ。
- 今週は4月15日に米3月小売売上高、16日に中国3月小売売上高や鉱工業生産、米3月鉱工業生産、17日にベージュブック(米地区連銀報告)、19日に日本3月全国消費者物価指数を予定する。さらに、4月18日からはG20財務相・中央銀行総裁会議を控える。
- ドル円は三役好転を形成した、ボリンジャー・バンドの2σに沿って進む“バンド・ウォーク”をたどり、21日移動平均線から200日移動平均線まで全て上向くなど、非常に強気な状態だ。介入警戒が意識されるなか、ジリ高が続くようにみえる。一方で、RSIは70を超え、完全に割高サインが点灯する状況だ。
- 投機筋の円のネット・ショートは4月9日週時点で16万2,151枚と、2007年6月26日週(18万8,077枚)以来の高水準だった。一方で、日経新聞によれば、QUICK社が算出した店頭FX5社合計の建玉状況での「ドル・円」取引の総建玉(未決済残高)に占める「ドル売り」比率は、4月5日時点で56.9%と、2023年11月以来の高水準近くで推移していた。仮に今行えば、個人投資家のドル買い・円売りが吸収するリスクもあり、難しい舵取りが迫られよう。
- 以上を踏まえ、今週のドル円の上値は心理的節目の154.50円、下値は21日移動平均線が近い151.50円と見込む。
1.前週の為替相場の振り返り=市場予想を上回る米3月CPIで、153円突破
【4月8日~12日のドル円レンジ:151.57~153.39円】
(前週の総括)
ドル円の変動幅は4月8日週に1.82円と、その前の週の1.14円から拡大した。週間ベースでは、続伸。岸田首相が国賓待遇で米国を訪問する前の4月5日、円安傾向が続く為替相場に関し、過度な動きには適切に対応し、あらゆる手段を排除しないと述べた。週初は米3月消費者物価指数(CPI)を控え、151.50~151.90円台でのもみ合いに終始した。米3月CPIが市場予想を上回る結果になると、152円を突破し急伸。米10年債利回りが2023年11月以来の4.6%に迫るなか、ドル円は10日に一時153.24円と1990年6月以来の高値をつけた。
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