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  • Weekly Report(6/24):「ドル円は4/29の高値トライか、米5月PCE価格指数や政治イベントで乱高下も」
    安田 佐和子
    この記事の著者
    トレーダム為替アンバサダー/ストリート・インサイツ代表取締役

    世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、自身のブログ「My Big Apple NY」で商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの研究員を経て、現職。NHK「日曜討論」、テレビ東京「モーニング・サテライトなどのTV番組に出演し、日経CNBCやラジオNIKKEIではコメンテーターを務める。その他、メディアでコラムも執筆中。

    マーケット分析
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    ―Executive Summary―

    • ドル円の変動幅は6月17日週に2.69円と、前週の2.54円から拡大した。週間ベースでは、続伸。ドル円は全体的に米指標が弱含む中でも、週初から徐々に買いが広がる展開となった。Fed高官のタカ派的な見方がドル円の買いを後押し。植田日銀総裁が17、18日に円安で輸入物価の動向に注視が必要などと発言したが、影響は限定的。19日にスイス国立銀行が利下げを行うと、瞬間的にドル円が157.60円へゆるむ程度で、むしろ以降は上値を拡大する動きに入った。20日に米財務省が公表した為替報告書で日本が1年ぶりに「監視国リスト」に加わると、介入困難との見方から159円を突破。林官房官を始め鈴木財務相、神田財務官などが火消しにまわるも、米6月総合PMI・速報値が約2年ぶりの高水準だったこともあり、一時159.85円と4月29日以来の160円乗せが迫った。
    • 為替報告書で日本が1年ぶりに「監視国」入りとなったが、一因に米大統領候補の第1回TV討論会が考えられよう。共和党のトランプ候補は、約34年ぶりの円安・ドル高を「大惨事」と評し、バイデン大統領がドル高を放置し、米国内の製造業に打撃を与えたと猛批判していた。
    • 円安・ドル高が進んだもう一つの理由は、神田財務官の去就が取り沙汰された可能性もある。介入実績のデータを公表するようになった1992年以降、4年連続で財務官に就任したのは2人のみで、神田財務官が4年目を迎えるかは不透明。仮に退任となれば、特に2022年9~10月の介入実績で評価が高かっただけに、ドル円を押し上げそうだ。
    • ただし、今週は6月28日に米5月PCE価格指数を予定する。足元、米5月小売売上高が市場予想以下となったように、需要低迷が意識され、米連邦準備制度理事会(FRB)が注目するインフレ率が鈍化すれば、ドル円の上昇トレンドが一服する期待もある。
    • その他、米大統領候補のTV討論会に加え、各国の政治イベントが目白押しだ。また、本邦当局による介入も警戒される。テクニカル的に非常に強い地合いながら、乱高下するリスクに注意すべきだろう。
    • 以上を踏まえ、今週のドル円の上値は4月29日の高値160.23円を上回る160.50円、下値引き続き3月後半以降のサポートとなる50日移動平均線が近い156.20円と見込む。

    1.為替相場の振り返り=ドル円、米金利低下を無視し為替報告書を手掛かりに160円迫る

    【6月17日~21日のドル円レンジ:157.16~159.85円】

    (前週の総括)

     ドル円の変動幅は6月17日週に2.69円と、前週の2.54円から拡大した。週間ベースでは、続伸。ドル円は全体的に米指標が弱含む中でも、仏総選挙で極右勢力が勝利する懸念が一服するなか、週初から徐々に買いが広がる展開となった。フィラデルフィア連銀総裁が17日に年1回の利上げが適切」と発言したほか、セントルイス連銀総裁が18日にインフレ進展停滞あるいは反転すれば、利上げを支持」、など、Fed高官のタカ派的な見方がドル円の買いにつながった。植田日銀総裁が17、18日に円安で輸入物価の動向に注視が必要などと発言したが、影響は限定的。米議会予算局が(CBO)が18日に公表した米財政赤字見通しで赤字拡大方向へ修正されたことで、米金利上昇が意識される場面もみられた。19日にスイス国立銀行が利下げを行うと、瞬間的にドル円が157.60円へゆるむ程度で、むしろ以降は上値を拡大する動きに入った。

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