―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は2月2日週に2.79円と、その前の週の3.26円から縮小した。前週比では、2.4円の上昇と3週ぶりの反発。年初来では0.3%高と、3週ぶりにプラスに転じた。週初から、1月31日の高市首相の「円安で外為特会はホクホク」発言を受け円安容認との思惑から、買いが先行。米1月ADP全国雇用者数や米新規失業保険申請件数など、弱い米指標が飛び出しても押し目を拾われた。むしろ、衆院選での高市首相率いる与党圧勝の予想を受け、財政拡張型の政策を先取りした円売りが進み、一時157.34円と1月23日以来の高値をつけた。
- 自民党率いる与党は衆議院選挙を経て3分の2以上の議席を確保した。高市政権の政策遂行力は、大幅に強化された。市場の焦点は「食品の消費税率ゼロ」を含む財政政策だが、選挙戦での言及は少なく、実現には慎重姿勢がうかがえる。米財務省報告書は財政拡張と金利差を円安要因として指摘しており、日米協調レートチェックを受け米国が日本に見返りを求めるならば、①日銀の利上げ、②食品消費税率ゼロの棚上げ――が意識される。一方、対米投資を踏まえると2024年のような大規模介入は難しい。結果として、円安是正の主な手段は日銀の利上げとなる可能性が高く、3月会合に向けた日銀のコミュニケーションがカギとなるだろう。
- 米1月雇用統計を前に、ADP、チャレンジャー人員削減、採用予定数、雇用DIなど前哨戦は総じて弱含んだ。米1月チャレンジャー人員削減は2009年以来の高水準で、ADPも予想を下回り伸びが鈍化。失業率との相関が高い米1月消費者信頼感の雇用DIは2021年以来の低水準となり、労働需給の緩みを示唆する。一方、ISM製造業指数の改善は在庫補充や関税発動観測による先行調達とされ、実体改善とは言い難い。さらに、雇用統計では年次基準改定の確報値が公表されるため、NFPの下方修正リスクにも注意が必要だ。
- ドル円のテクニカルは、2025年10月6日安値と1月14日の高値の61.8%戻しを達成し、そこがサポートと化しつつある。しかも、一目均衡表の雲の上限だけでなく、21日移動平均線も突破。1月30日から6営業日続伸を果たし、ドル円はテクニカル的に上値を試す勢いを感じさせる。
- 2月9日週の主な経済指標は、9日に日本12月実質賃金(毎月勤労統計調査)、日本12月国際収支、10日に米Q4雇用コスト指数、米12月小売売上高と輸入物価指数、11日は中国1月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数、米1月雇用統計が控える。12日は英Q4実質GDP成長率速報値、米新規失業保険申請件数、13日は米1月CPIを予定する。
- その他、政府・中銀関連では、9日にラガルドECB総裁の発言、ウォラーFRB理事とアトランタ連銀総裁の発言、10日にクリーブランド連銀総裁とダラス連銀総裁の発言、11日に米10年債入札、12日に米30年債入札、13日に田村審議委員、ミランFRB理事、ダラス連銀総裁、ミュンヘン安全保障会議(15日まで)を予定する。
- 以上を踏まえ、今週の上値は1月23日高値付近の159.20円、下値は2025年10月6日安値と1月14日高値の38.2%戻しが近い155.60円と見込む。
1.ドル円振り返り=衆院選で高市首相率いる与党圧勝の思惑で、ドル円157円台を回復
【 2月2~6 日のドル円レンジ:154.55~157.34円】
ドル円の変動幅は2月2日週に2.79円と、その前の週の3.26円から縮小した。前週比では、2.4円の上昇と3週ぶりの反発。年初来では0.3%高と、3週ぶりにプラスに転じた。週初から、1月31日の高市首相の「円安で外為特会はホクホク」発言を受け円安容認との思惑から、買いが先行。米1月ADP全国雇用者数や米新規失業保険申請件数など、弱い米指標が飛び出しても押し目を拾われた。むしろ、衆院選での高市首相率いる与党圧勝の予想を受け、財政拡張型の政策を先取りした円売りが進み、一時157.35円と1月23日以来の高値をつけた。
2日のドル円は、買い優勢。高市首相のホクホク発言が円安容認と解釈され、前週末の終値から窓を開けてスタートし早々に155.50円台をつけた。1月日銀金融政策決定会合の「主な意見」が想定以上にタカ派だったため154.80円台へ下落も下値を拾われつつ、ロンドン時間入りに一時154.55円まで週の安値をつけた。もっとも、そこからは買い戻し。NY時間には米1月ISM製造業景気指数が2022年8月以来の水準へ急伸したため、一時155.79円まで本日高値を更新した。もっとも、上値では一目均衡表の転換線を抜けたものの、基準線に阻まれた。
3日のドル円は売り先行を経て買い戻し。東京時間に、片山財務相と城内経財相が高市首相の「ホクホク」発言について釈明し、売りが入った。豪準備銀行(RBA)が0.25%利上げを決定し豪ドル円を押し上げたことも、ドル円への影響は限定的で、155.30円まで本日安値を更新。しかし、下値が拾われNY時間には一時156.09円まで本日高値を更新。その後は、政府機関の閉鎖を受け米労働統計局が米12月雇用動態調査と米1月雇用統計の延期を発表したこともあって、155円半ばへ戻した。
4日のドル円は、上値を拡大。ドル円は米予算成立を受け2月3日夜に政府機関閉鎖が終了したとの報道を受け、東京時間序盤から右肩上がりの展開に入った。昼頃には156.40円台へ切り上げ、同水準で失速するかにみえたが、再びロンドン時間から買いが強まる展開。一目均衡表の雲の上限、50日移動平均線、21日移動平均線などを次々に破った。NY時間にかけては、一時156.86円まで上値を拡大。
5日、ドル円は堅調な流れを経て上げ幅縮小。ドル円は東京序盤に売りが入るも2回156.70円付近で押し返され、買いが強まりロンドン時間には一時157.34円と1月23日以来の高値をつけた。英国でスターマー首相がエプスタイン問題で疑惑の目が向けられるマンデルソン卿を駐米英国大使に任命した責任問題で謝罪するなか、ポンドが対ドルで急落も影響は限定的。しかし、NY時間に米1月チャレンジャー人員削減予定数や米新規失業保険申請件数が市場予想より弱く、売りに転じると一時154.64円まで本日安値をつけた。もっとも、25年10月安値と1月14日高値の61.8%押し付近と21日移動平均線が重なる156円半ばでは買い戻し意欲が根強く、157円の大台を戻して引けた。
6日、ドル円は売り先行後も堅調。東京時間は売りからスタートし、増日銀審議委員が利上げ継続姿勢を示すと、一時156.52円まで本日安値をつけた。もっとも、引き続き156円半ばからは鉄壁の押し目買いが入り、買いが再燃。CNBCが高市首相率いる与党の圧勝見通しを報じるなか、日経平均先物が急騰していたことも、ドル円の買いにつながった。NY時間に再び下落する場面がみられても下値は堅く、引け際に買いが強まり一時157.27円まで本日高値をつけ、2週連続でほぼ高値引けした。
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