Weekly Report(12/1)「植田総裁発言と米雇用関連指標で、ドル円の上昇トレンド一服を確認か」
マーケット分析
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―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は11月24日週に1.54円と、その前の週の3.52円から縮小した。週足では、小幅に3週ぶりに反落。前週比では0.14円の下落となり、年初来リターンは前週の0.6%安から0.7%安と小幅に広がった。NY連銀総裁に続き、サンフランシスコ(SF)連銀総裁も12月利下げ支持を示唆したほか、ロイターが日銀による12月利上げ準備について報じ、売りが優勢となった。ADP全国雇用者数の週次ベースにて3週連続で減少したほか、次期FRB議長にハセットNEC委員長が最有力との報道も、トランプ政権による利下げ圧力の強まりを連想させ売りにつながった。ただ、日銀の利上げについては高市政権が容認するか不透明であり、かつ当該週は米国の感謝祭などで商いも薄く、156円割れでは下値の堅さを確認した。
- NY連銀総裁に続き、サンフランシスコ(SF)連銀総裁も12月利下げを支持する発言を行った。SF連銀総裁は今年の投票メンバーではないものの、FOMC内での流れを利下げに引っ張る上で重要視される。イエレン前財務長官の流れを汲む連銀総裁であり、トランプ政権寄りではない。何より、NY連銀はオペ担当だが、SF連銀総裁はシリコンバレーを管轄するだけに、巨額なAI投資が米経済や米金融安定に与える影響も理解しているはずだ。その他、12月9~10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定をめぐっては、指標発表のスケジュールも後押しする。
- 日銀の政策委員会メンバーは円安進行を受け、12月利上げを見据え相次いでタカ派的な見解を表明している。植田総裁は12月1日、12月利上げを視野に、春闘の初動モメンタムを見極める上で「次回の決定会合に向けて、本支店を通じ、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集しているところ」と発言した。一方で、高市政権の下で発足した日本成長戦略会議のメンバーは、0.25%利上げを行い政策金利である無担保コール翌日物金利を0.75%に引き上げた後、2026年は一旦据え置いてから2027年に利下げ再開と予想。12月に仮に利上げを行ったとしても、利上げ打ち止め感が台頭し、円安に歯止めがかからないとの観測も浮上。ただ、野口審議委員は11月27日の講演内容もハト派的と受け止められたが、「時を置いて小刻みに利上げを行うのが現実的」と発言。植田総裁も「緩和的な金融環境の中での調整であり、例えて言えば、景気にブレーキをかけるものではない」と述べ、利上げを継続していくかのような発言で、利上げ打ち止め感を払拭したように見える。
- 12月1日週の経済指標は、1日に中国11月RatingDog製造業PMI、7-9月期四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額、ユーロ圏や独、英、米の11月製造業PMI確報値、米11月ISM製造業景況指数、2日にユーロ圏11月消費者物価指数・速報値、米10月JOLTS(求人件数を含む)、3日に豪Q3GDP、ユーロ圏や独、英、米のサービス業と総合PMI確報値、米11月ADP全国雇用者数、米11月ISM非製造業景況指数が控える。4日に米11月チャレンジャー人員削減予定数と米新規失業保険申請件数、5日にユーロ圏Q3GDP確定値、米9月個人消費支出(PCE)と所得、PCE価格指数、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値を予定する。
- その他、政府・中銀関連では、1日に植田総裁とパウエルFRB議長の発言、2日に日本10年利付国債入札、ボウマンFRB副総裁が下院金融サービス委員会出席(金融政策や経済に関する発言なし)、3日にラガルドECB総裁の発言が控える。また、4日は日本30年利付国債入札、ボウマンFRB副議長の発言(金融政策や経済に関する発言なし)を予定する。以上を踏まえ、今週の上値の目途は心理的節目の 157.50円、安値は一目均衡表の転換線が近い154.50円と見込む。
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