日銀のスケジュールをチェックしてみよう
畑尾 悟
この記事の著者
DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 アナリスト

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。

AFP
IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

為替の仕組み

長く続いたマイナス金利政策が終わったことで、日本銀行(日銀)の動向がこれまで以上に注目されています。金利のない世界が長すぎたため、金利が一段と上昇するとどうなるのか、日本国民の耐性がついていないと指摘されることもあります。

一般生活の面では、金利が上がると預金金利の上昇や貯蓄性保険の予定利率上昇などメリットがあります。一方で、自分がローンを組む際の金利も上昇する、会社経営者であれば融資金利が上がるなど、何かと負担も増えます。金利の上下には良し悪しがあり、低金利、高金利のどちらが良いかは人それぞれです。

日銀に関することは報道機関によるニュースが出て初めて知る人も多いと思いますが、スケジュールはちゃんと公表されています。株式投資においても知っておきたいところなので、今回は日銀の予定表を見ていこうと思います。



普段の生活において日銀の公式ホームページを見る機会はまずないと思いますが、ここにむこう1カ月程度の予定表が掲載されています。

出所:日銀ホームページ 公表予定

日銀というと年8回開催される金融政策決定会合が最も注目されますが、ほかにも重要となりそうなイベントがあります。例えば、日銀審議委員が地方で行う挨拶などです。

日銀会合の議決は9名の政策委員(総裁、2名の副総裁、6名の審議委員)による多数決によって行われます。その時の委員ごとに考え方がタカ派(金融引き締め的)なのかハト派(金融緩和的)なのか異なりますので、利上げ局面ではタカ派委員の発言が注目されやすい傾向にあります。

取引時間中に突然為替や株価が動いた場合であっても、日銀のスケジュールを知っていたら理由を見つけやすくなるかもしれませんね。



いろいろなスケジュールが掲載されているように、もちろん金融政策決定会合の予定も掲載されています。

出所:日銀ホームページ 金融政策決定会合の運営

本記事の作成時点では6月分まで終了しており、今年は7月、9月、10月、12月と4回の日銀会合が予定されています。1月、5月、7月、10月の会合では「経済・物価情勢の展望」も公表され、日銀は今後どのような金融政策を進めるのか探る重要な資料となります。

なお、日銀会合は2日間行われ、基本的には2日目の昼に結果が公表されます。東京証券取引所の前引け(11時30分)~後場寄り(12時30分)の間に公表されることが多いですが、公表時間は明確には決まっていません。過去、13時近いときもあれば、前引け間際のときもありました。結果公表当日になると、SNS上で「早くしろ」といった投稿があふれることも恒例行事となっています。



株式市場では日銀が金融政策をどうするのか?といった点が注目されますが、もちろん日銀の仕事は金利の上げ下げだけではありません。学校で習ったように紙幣を発行することなども仕事の一つです。

大きく分けると、(1)「金融政策の運営」として政策金利の調整や資産買入れを通じて物価と経済の安定を図ること、(2)「金融システムの安定維持」として、民間銀行への資金供給や決済システムの円滑な運営などを行うこと、(3)「通貨の発行と管理」として、日本円紙幣の発行や流通管理、偽造防止のための対策などを実施すること、(4)政府の銀行として国債の発行・償還の事務を行うこと、(5)経済統計の公表や調査研究を行うことなどが挙げられます。

これらは日銀が公表する指標の一部です。お金や物価に関することが主な内容で、これら以外にも公表データはたくさんあります。直に見てみると新たな発見があるかもしれません。

ちなみに、日銀は上場しています。

出所:トレーダーズ・ウェブ

銘柄コード「8301」で検索すれば見ることができますが、売買はほとんどありません。銘柄名は「日本銀行 出資証券」であり、議決権がない特殊な銘柄です。配当もなく売買することはまずないと思いますが、値がさということもあって少ない出来高で値動きが大きくなることもあります。思い出したときに見てみると面白いかもしれませんね。


本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※本記事は2025年6月27日に「いまから投資」に掲載された記事を、許可を得て転載しています。


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