―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は12月1日週に1.84円と、その前の週の1.54円から拡大した。週足では、続落。前週比では0.85円の下落となり、年初来リターンは前週の0.7%安から1.2%安へ広がった。当該週は、植田総裁が「利上げの是非を判断する」と事実上の利上げを予告するなか、日銀の12月利上げ観測報道が相次ぎ、ドル円の下落につながった。まずは日経新聞が実質金利のマイナス幅を理由に利上げ継続と報じ、ロイターは高市政権が12月利上げを容認との報道。翌日には、ブルームバーグが日銀は利上げ継続姿勢を維持と伝え、ドル円は155円を割り込み一時154.34円と約3週間ぶりの安値をつけた。次期FRB議長に、ハセットNEC委員長が最有力と報じられ、トランプ大統領が会見で示唆したことも、ドル円の売りにつながった。
- 12月FOMCでは、0.25%の追加利下げを決定する見通しだ。四半期に一度公表される経済・金利見通しとドットチャートでは、2026年の利下げ予想につき、少なくとも前回の9月分と同じく、1回の利下げを示唆すると考えられる。FF先物市場では2回の予想確率が大勢を占めるなかで、タカ派と判断されうる。ただし、NY連銀総裁が11月7日に言及した資産ポートフォリオ拡大の再開について、パウエルFRB議長が示唆するなら、ハト派的と判断され、米金利の低下とドル売りにつながる場合もありそうだ。
- 植田総裁が12月1日に講演を行ってから、数々の日銀観測報道もあって、12月利上げが確実視されつつある。ロイターは高市政権が利上げを容認する見通しと報じ、ブルームバーグは利上げ継続姿勢を維持すると伝えた。さらに、12月5日には、時事通信が日銀による中立金利の再点検を通じ、政策金利が中立金利を下回るならば、利上げ継続余地ありと報じた。植田氏は12月9日、英フィナンシャル・タイムズ紙のイベントに出席し、発言の機会を得る予定。ここでは、12月の利上げや中立金利に対する姿勢を踏まえ、利上げ継続の可能性について改めて問われることになりそうだ。
- ドル円は強い地合いから、やや後退した。一目均衡表の三役好転を始め強いサインを維持する一方で、これまでサポートされてきた一目均衡表の基準線と21日移動平均線を下抜けた。ローソク足のヒゲ部分のみとはいえ12月4、5日には、高市自民党総裁誕生直後の10月6日と10月20、21日の安値を結んだトレンドラインも下回った。2024年7月と2025年1月のそれぞれの高値を結んだトレンドラインにも接近中である。一方、RSIは高市氏が自民党総裁に就任してから初めて割高・割安の中立水準にある50付近に迫り、割安と判断されて買い戻される余地も残す。
- 12月8日週の経済指標は、1日に中国11月貿易収支、日本10月実質賃金、日本Q3実質GDP成長率・改定値、9日はADP週次の全国雇用者数と米11月JOLTS(求人件数含む)、 10日は日本11月国内企業物価指数、中国11月CPIとPPI、米Q3雇用コスト指数の発表を予定する。11日には10-12月期四半期法人企業景気予測調査・大企業全産業業況判断指数、米新規失業保険申請件数、米9月貿易収支、12日には日本10月鉱工業生産を予定する。
- その他、政府・中銀関連では、8日に米3年債入札、ハセットNEC委員長の発言、9日に豪準備銀行(RBA)の政策金利発表、植田総裁の講演、米10年債入札、10日にはラガルドECB総裁の発言、カナダ銀行の政策金利発表、FOMCの政策金利発表とパウエルFRB議長の会見、11日には日本20年利付国債入札、スイス国立銀行の政策金利発表、ベイリー英中銀総裁の発言、米30年債入札、フィラデルフィア連銀総裁の発言、12日にはクリーブランド連銀総裁とシカゴ連銀総裁の発言が控える。
- 以上を踏まえ、今週の上値の目途は心理的節目の 156.50円、安値は2024年7月と2025年1月の高値を結んだトレンドラインが近い153.80円と見込む。
目次
1.ドル円振り返り=日銀が12月に続き利上げ継続との観測報道で155円割れ、約3週間ぶりの安値に
【12月1~5日のドル円レンジ:154.34~156.18円】
ドル円の変動幅は12月1日週に1.84円と、その前の週の1.54円から拡大した。週足では、続落。前週比では0.85円の下落となり、年初来リターンは前週の0.7%安から1.2%安へ広がった。当該週は、植田総裁が「利上げの是非を判断する」と事実上の利上げを予告するなか、日銀の12月利上げ観測報道が相次ぎ、ドル円の下落につながった。まずは日経新聞が実質金利のマイナス幅を理由に利上げ継続と報じ、ロイターは高市政権が12月利上げを容認との報道。翌日には、ブルームバーグが日銀は利上げ継続姿勢を維持と伝え、ドル円は155円を割り込み一時154.34円と約3週間ぶりの安値をつけた。次期FRB議長に、ハセットNEC委員長が最有力と報じられ、トランプ大統領が会見で示唆したことも、ドル円の売りにつながった。
1日のドル円は、売り優勢。トランプ大統領が11月30日に次期FRB議長に誰を指名するか決めたと発言し、ハセットNEC委員長が最有力視されるなか、利下げ継続の見方から売りでスタートした。さらに、東京時間の序盤に植田総裁が「利上げの是非を判断する」と発言。加えて「足元の利上げは景気にブレーキを踏むというより、アクセルをうまく緩めるプロセス」と述べ、あと1回の利上げで打ち止めとの観測を否定したと受け止められ、155円を割り込んだ。NY時間には、一時154.66円まで本日安値を更新。ただし、一目均衡表の基準線に支えられ買い戻され、米11月ISM製造業景況指数が弱い結果でも、155円台半ば付近でNY時間を終えた。
2日のドル円は、堅調な推移を経て売りへ反転。トランプ大統領が本日、重大発表を行うとの予告が意識されながら、ドル円は東京時間から買い戻しの流れを引き継いだ。ロンドン時間には買い戻しが強まり、156円台を回復。特に重要指標などを予定しなかったものの、NY時間には一時156.18円まで本日高値を更新した。トランプ大統領の重大発表は「トランプ口座」に関わる内容だったが、トランプ氏が次期FRB議長を来年早々に発表する見通しと述べた流れでハセット氏の名前に言及したところ、利下げ継続観測から売りへ反転し155.43円まで本日安値をつけた。
3日、ドル円は軟調。前日のトランプ発言を受け、ハセット氏が次期FRB議長との思惑から、利下げ継続観測の強まりを誘い、売りが優勢となった。日経新聞が「実質金利のマイナス『強調』 日銀資料で思惑、利上げ打ち止め観測けん制か」と報道したことも、ドル円の下落を後押し。NY時間に発表された米11月ADP全国雇用者数と米9月輸入物価指数が市場予想を下回った後は155.20円台まで売られていただけに買い戻された。米11月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことも、買い戻し要因となり、155.60円台へ切り返す場面も。しかし、その後は売りが再燃し、155.01円まで本日安値をつけた。
4日、ドル円は続落。ドル円は買い戻しでスタートしたが、東京時間にロイターが「日銀が12月会合で利上げを行う公算が大きく、政府も容認」と報じると、売りへ舵を切った。ロンドン時間入りには、同報道が蒸し返され、155円を割り込み、一時154.51円まで本日安値を更新した。NY時間に発表された米新規失業保険申請件数などが堅調で、その後は買い戻され155円台でNY時間を終えた。
5日、ドル円は買い戻し。東京時間からロンドン時間までは、ブルームバーグが「日銀が今月会合で政策金利引き上げへ、利上げ継続姿勢を維持」と報じ、利上げ打ち止め払しょくに動くと報じたため、売りが優勢となった。ロンドン時間には、一時154.34円まで週の安値を付ける展開。しかし、NY時間からは買い戻され、米9月PCE価格指数が落ち着いたインフレ動向を示し、12月利下げを正当化する内容でも、一時155.49円まで本日高値を付けた。
チャート:ドル円の10月からの日足、米10年債利回りは緑線(左軸)

2.為替見通し=12月FOMCと植田総裁の発言で、ドル円の調整モード継続を確認
【12月8~12日の為替予想レンジ:153.80~156.50円】
12月FOMCは追加利下げの公算、焦点は2026年利下げ見通し
12月9~10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。前回のレポートで指摘した通り、ウィリアムズNY連銀総裁の11月21日の講演、11月24日付ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙でのデイリー・SF連銀総裁のインタビューが決定打となり、12月FOMCでは、0.25%の追加利下げを行う見通しだ。FF先物市場では、12月5日時点で86.2%の利下げが織り込まれている。
チャート:FF先物市場、12月利下げを86.2%織り込む

12月FOMCでは、四半期に一度の経済・金利見通しとドットチャートが公表される。前回9月FOMC では、2026年は1回の利下げが予想されていた。FF先物市場やブルームバーグによるエコノミスト調査では、2026年に2回の利下げが見込まれる一方で、9月のドットチャートを踏まえれば、2026年に1回以上の利下げを予想したFOMC参加者は19人中11人。足元、トランプ政権が関税収入の「配当」として、2,000ドルの還付に言及するなか、2026年の利下げ予想が前回と同じく1回にとどまってもおかしくない。12月利下げの後、パウエルFRB議長が会見で、利下げの小休止に言及する可能性も考えられ、9月と10月に続き、タカ派的な利下げとなりうる。逆に、2回となれば市場の予想と一致し、米金利低下・ドル安につながる場合がありそうだ。
チャート:9月FOMCの経済・金利見通し

仮に「タカ派的利下げ」でも、流動性支援を示唆する可能性も
ただし、12月1日に量的引き締め(QT)を停止した。FRBによれば、満期を迎えた米国債は償還分をすべて入札でロールオーバーし、政府系機関証券の元本返済については、12月1日以降すべて米国財務省短期証券(Tビル)に再投資する。住宅ローン担保証券(MBS)の元本返済分については、10月と11月に限り月額350億ドルの上限を超える分を米国債に再投資し、米国債発行残高の満期構成におおむね一致させる方針だった。
QTの決定は、金融システムに十分資金が行き渡ってないリスクへの対応と言える。QT停止前までの縮小の余波や、Tビルを含む米国債の大量発行などにより、銀行の流動性を示すバロメーターである準備預金残高は、12月3日週に2兆8,580億ドルに減少した。
準備預金残高が減少する過程で、銀行間で短期資金を無担保で融通し合うFF金利の上昇だけでなく、MMFや証券会社、ヘッジファンドなどが資金を調達する翌日物レポ市場で、短期資金調達コスト(Secured Overnight Financing Rate=SOFR、担保付翌日物調達金利)が上昇。一般にSOFRは「担保付きの翌日物レポ金利」、FFは「無担保の翌日物資金」であり、SOFRの方が低く出やすい構造にある。ただし、SOFRの上昇は資金・担保需給の逼迫と、流動性支援が必要な状況を示唆したと言えよう。
チャート:米財務省一般口座(TGA)と、FRBに預ける銀行の準備預金残高の推移

チャート:SOFR、実効FF金利、準備預金金利

NY連銀総裁は11月7日、資産ポートフォリオの再拡大について言及した。一部のアナリストの間では、2026年Q1にも、2019年秋のように、流動性支援を目的としたTビルの購入を通じ、保有資産再開を発表するとの観測が流れている。短期金利市場に対応するなら、1月FOMCに向けて発表する余地があり、12月FOMCで示唆する可能性にも留意すべきだろう。
植田日銀、1月から観測報道以外の手段で利上げ示唆を開始
植田総裁の就任以降、日銀の金融政策決定会合を前に、各メディアはスクープ合戦を繰り広げてきた。最も象徴的なのは、会合直前の午前2時に日経新聞が打つ「日経砲」である。2024年3月19日の日銀会合直前には、「日銀が大規模緩和解除へ、19日決定 長短金利操作も撤廃」と報道。同年7月会合当日も、午前2時に「日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ」と伝えた。
日経を始め、各社で相次ぐ観測報道の在り方には、疑問も出ていた。2024年3月会合後の会見で、植田氏は「発信した情報をもとに各社が見方を示したもの」と説明。7月の追加利上げ後も「情報管理は適切に行っている。より良い方法があるか検討したい」と述べた。
さらに同年10月のG20では「7月は政策委員による公の場での発信がなく、対話の機会があればより良かった」と振り返った。有言実行に移しているとみられ、少なくとも2024年9月以降は、午前2時の“日経砲”は確認されていない。
2025年1月には、日銀のコミュニケーション手段に新たな手法が加わった。氷見野副総裁は1月14日、講演で「来週の金融政策決定会合では、『展望レポート』にまとめる経済・物価の見通しを基礎に、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したいと思う」と宣言。植田氏も1月15日の挨拶で、利上げを判断するとのメッセージを送った。これらが事実上の「通告」となり、実際に3回目の利上げが行われた。2024年7月の利上げ後に襲った「日本版ブラックマンデー」を経て、植田氏がコミュニケーション手段を明確に転換させたと見るのが自然だろう。
チャート:植田総裁就任後、政策委員会メンバーの講演などの回数

植田氏、補正予算成立後の基調的インフレ押し上げが視野?
そして植田氏は12月1日、講演で自ら12月利上げへの狼煙を上げた。経済・物価の見通しが実現していくとすれば、利上げが可能との見解を寄せただけでなく、明確に12月18~19日会合の日付に言及し、「次回の決定会合に向けて、本支店を通じ、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集しているところ」と述べた。2026年1月に予定する支店長会議の前に、前回会合で示した、「春闘の初動のモメンタムについて情報を集めたい」とする発言の伏線回収に取り組んだ格好だ。その上で、「利上げの是非について、適切に判断したい」と言い切った。
植田氏の発言は、11月20日に小枝審議委員の「基調的インフレ率は2%ぐらい」、11月22日付の増審議委員の日経新聞インタビューにおける「利上げをしていい環境は整ってきている」に続く、利上げの地ならしと位置づけられる。ハト派の野口審議委員も、利上げが早すぎる場合と遅すぎる場合に言及したものの、会見で9月29日時点と同じく、利上げが近づいているとの認識が変わらないとも発言。12月会合を前に、政策委員会メンバー9人のうち、4人が12月利上げの布石を打ったことになる。
日本成長戦略会議のメンバーが0.75%までの利上げ後、2026年は見送りと予想していたため、12月に利上げに踏み切ったとしても、打ち止め感が高まりかねない。今回、植田氏はこうした観測を払拭すべく、講演の機会を活用した。利上げを行ったとしても「緩和的な金融環境の中での調整であり、例えて言えば、景気にブレーキをかけるものではなく、安定した経済・物価の実現に向けて、アクセルをうまく緩めていくプロセス」と説明。実質金利がマイナスの過程では、利上げが継続できるとの考えを寄せた。野口氏も、11月の講演で「時を置いて」と付言しつつ、「小刻みに利上げを行うのが現実的」と発言しており、打ち止め感払拭を狙った深謀遠慮が伺える。敢えて、リフレ派寄りとされる野口氏に「言わせた」のも、植田流コミュニケーションと捉えられよう。
チャート:日本の実質金利は依然マイナスで緩和的

補正予算をにらみ、今後の利上げへの自由度確保も狙う
もうひとつ、特筆すべきは高市政権での補正予算をめぐる発言だ。総合経済対策として、ガソリンの暫定税率廃止や電気・ガス代支援、所得税の年収の壁見直し、物価高対応子育て応援手当などが含まれる。植田氏は講演後の会見で、「総合の物価を押し下げる効果があると思う。一方で、成長や所得を押し上げる影響をもたらし、それは理論的に基調的な物価を押し上げる」と明言。高市政権の政策に配慮しつつ、物価高継続による利上げの必要性を強調した。この発言も、利上げ打ち止め観測を暗に否定したものと捉えられよう。
ドル円が155円を超えるドル高・円安進行は、植田氏のインフレ警戒を強める要因となったに違いない。円安による物価高の影響として、輸入物価を通じ国内物価に転嫁し、「もちろん物価押し上げ要因になる」と明言した。さらに、「場合によっては基調的インフレにも影響が及ぶ」とも語り、円安を波及経路とした物価高への警戒度を高めた。
さらに植田氏は「緩和度合いの調整が遅れると、米国や欧州で経験したように非常に高いインフレ率になり、政策金利が4~5%にならないといけない、それは混乱を引き起こす。そうならないことによって、息の長い成長が達成できる」と述べた。官民連携で「強い経済」の実現を目指す高市政権に、利上げへの理解を促そうとする姿勢が垣間見える。同時に、今後の利上げへ向けた自由度確保も狙っているかのようだ。
筆者のこうした見方を補強するように、時事通信は12月5日、「日銀、中立金利を再点検 水準上がれば利上げ余地拡大も」と報道。これまで、日銀は中立金利を1.0~2.5%の間と推計していたが、再点検により、この水準が引き上げられ、政策金利が中立金利を下回り続けるならば、緩和的環境が続くことになり、利上げの必要性が増す。利上げ継続の論拠を固め、高市政権の政策との整合性を担保する見通しだ。
植田氏は12月9日、英フィナンシャル・タイムズ紙のイベントに出席し、発言の機会を得る予定だ。ここでは、12月の利上げや中立金利に対する姿勢を踏まえ、利上げ継続の可能性について改めて問われることになりそうだ。
ドル円のテクニカルは強い地合いから後退続く、FOMCと植田総裁発言が流れを決定か
ドル円は強い地合いから、やや後退した。一目均衡表の三役好転を始め強いサインを維持する一方で、これまでサポートされてきた一目均衡表の基準線と21日移動平均線を下抜けた。ローソク足のヒゲ部分のみとはいえ12月4、5日には、高市自民党総裁誕生直後の10月6日と10月20、21日の安値を結んだトレンドラインも下回った。2024年7月と2025年1月のそれぞれの高値を結んだトレンドラインにも接近中である。一方、RSIは高市氏が自民党総裁に就任してから初めて割高・割安の中立水準にある50付近に迫り、割安と判断されて買い戻される余地も残す。
12月8日週の経済指標は、1日に中国11月貿易収支、日本10月実質賃金、日本Q3実質GDP成長率・改定値、9日はADP週次の全国雇用者数と米11月JOLTS(求人件数含む)、 10日は日本11月国内企業物価指数、中国11月CPIとPPI、米Q3雇用コスト指数の発表を予定する。11日には10-12月期四半期法人企業景気予測調査・大企業全産業業況判断指数、米新規失業保険申請件数、米9月貿易収支、12日には日本10月鉱工業生産を予定する。
その他、政府・中銀関連では、8日に米3年債入札、ハセットNEC委員長の発言、9日に豪準備銀行(RBA)の政策金利発表、植田総裁の講演、米10年債入札、10日にはラガルドECB総裁の発言、カナダ銀行の政策金利発表、FOMCの政策金利発表とパウエルFRB議長の会見、11日には日本20年利付国債入札、スイス国立銀行の政策金利発表、ベイリー英中銀総裁の発言、米30年債入札、フィラデルフィア連銀総裁の発言、12日にはクリーブランド連銀総裁とシカゴ連銀総裁の発言が控える。
商品先物取引委員会(CFTC)による投機筋のポジション動向は、10月28日週時点で6万8,115枚のネット・ロングと、前週比で小幅に縮小した。アセットマネジメントとその他のネット・ロングが小幅拡大したが、ディーラーとレバレッジ系がネット・ショートを積み増し、全体的なネット・ロングの縮小につながった。
レバレッジ系(ヘッジファンド勢など)による円先物のネット・ポジション動向は5万2,101枚のネット・ショートが縮小。ただし、引き続き24年7月30日週以来の高水準を視野に入れた水準となる。
当該週は、高市氏が首相に就任し、10月日銀金融政策決定会合で利上げに急ぐ必要性は乏しいとの報道が流れるなか、ドル円は約2週間ぶりに153円台を回復した。
チャート:投機筋の円先物、ネット・ロングは3週連続で縮小

チャート:レバレッジ系の円先物、ネット・ショートは前週比で縮小

以上を踏まえ、今週の上値の目途は心理的節目の 156.50円、安値は2024年7月と2025年1月の高値を結んだトレンドラインが近い153.80円と見込む。
チャート:10月からの日足チャート、2024年7月高値と25年1月高値を結んだトレンドラインは白の破線、21日移動平均線は黄色線、24年9月安値と25年1月高値の38.2%押しは山吹色線、3月28日の高値は白線、8月1日の高値は紫の破線、2024年9月安値と25年1月高値の半値の押しは黄緑線、50日移動平均線は薄青線、90日移動平均線は紫の線、一目均衡表の転換線は赤線、基準線は青線、中央図はRSI、下図はMACD。

3.主な要人発言


4.主な経済指標結果
〇米国の経済指標

〇欧州の経済指標

〇日本と中国の経済指標

〇オセアニア

5.経済指標予定
・米政府機関が再開したものの、新たな予定発表時期がリリースされておらず、*が記された指標の発表は未定
・赤字が最重要、青字がある程度重要な経済指標 orイベントとなる。
※緑文字は、米政府機関閉鎖が継続、あるいは閉鎖解除後の発表先送りを決定すれば、リリースが延期となる可能性がある指標を示す

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