目次外国為替相場制度1. 固定制の強い制度2. ソフト・ペッグ制度3. 高い柔軟性を持つ制度 外国為替相場制度 […]
誠に恐縮ですが、来週3月25日(月曜)の当Weekly Report(文責:吉岡)は筆者都合により休載とさせて頂く予定です。次回配信日は、4月1日(月曜)となります。
(このため、今週のWeekly Reportは「3/18~3/29の期間」を対象に作成致しました)
<テクニカル分析判断>
●短期:想定を大幅に上回る「反発」が示現。短期的には上昇余地模索の展開が継続か?
●中期:先週の急反発にも、中期時間軸では依然として下落余地模索の可能性が残存
先週は「寄付147.09:146.49~149.16:終値149.03(前週比+1.97円の大幅な円安)」となり、週足では3週ぶりに(大幅な)陽線を形成した。先週は<前週の急落展開を受けて中長期トレンドはかなり鮮明になってきた。少なくとも3ヶ月~6か月程度の中期トレンドについては「USD安/円高」方向でのかつての見通しに戻ることになろう>とご案内したものの、わずか1週間で<テクニカルには(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面を迎えており、今後数週間の推移はまさに『刮目が必須』>と再び2週前の悩ましい状態に戻ってしまった。ポイントとなる移動平均線などを(一旦)抜けても「複数連続の推移をもって“確認”」としてきた我々のスタンスはやはり堅持する必要がある。(上図中の★をつけた〇は、ポイントを抜けたものの翌週元に押し戻された事例。但し、直近1年半はその後やはり最初に抜けた方向で短期トレンドを形成する場合が多い:上図&後掲➋ご参照)
一方で<想定を大幅に上回る直近の(一気の)下落局面は、短期的に(真逆の)「速度調整的“反発”」の可能性を台頭させている。中長期トレンドが下落方向に大きく傾いたとはいえ、こうした状況には留意が必要>との懸念も指摘していたのだが、これもまた想定を大幅に上回る格構で示現する結果に。
やはり、これまでも再三指摘してきた『押し目買い圧力』の根強さを改めて強く認識せざるを得ないということだろうか。<「➊と➋を結んだ2023年の上昇トレンドラインは今年に入っても重要な下値支持ラインとして機能(●140.24で下げ止まった後急反発)」しており、時間の経過と共に通常の推移レベルを徐々に上方に押し上げていた。このトレンドラインと52週移動平均線(紺色の線)は強力なサポートレベルとなる可能性が高い>としていた先週のもう一つの留意点もその可能性を一段と高めつつある。
なお、2週前に4.08円と急拡大を見せた週間レンジは2.67円と想定通り縮小したものの、<比較的高めの市場変動率>を維持している。今後についても当面は<比較的高めの市場変動率>を想定。
以下では『短期・中期・長期の方向性』について各時間軸チャートによるテクニカルな視点を中心にご案内。(今号の分析は2024/03/15のNY市場終値をベースに実施)
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド」、「52MA & 200MA」、RSIを付記
短期(1週間~1か月弱)の方向性:想定以上の反発により中期と相反して「上昇志向」が鮮明
□「下値支持線に転化したはずの21/52の各MA」をあっさりと下抜けたものの、わずか1週で52MAを回復し、再度上値抵抗線へと逆転したはずの21MA上方突破も視野に入った。短期時間軸では明らかに「上昇を志向」。今週は149.20近辺に低下してくる21MAへの上抜けトライが先行すると考えられる
◇また、RSIはほぼ中立領域にあるが、上方転換したストキャスティクスには上昇余地が大きく残存し、これも上値トライ継続の可能性を示唆。ただ、その速度次第では調整的反落も考えられる
>>>想定レンジ=3/18~3/29:144.75~151.95 、今後1ヶ月:141.90~152.85 =
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSIを付記
中期(1か月~半年程度)の方向性:中期時間軸は「下落志向」と見られ、短期との相反が鮮明
■4週前から指摘していた<上下双方に振れる可能性があり『152円台へ上昇できるのか、はたまた反落局面に入るのか』が問われることとなり、テクニカル的に「(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面」を迎えている>との認識は「再び両睨み」として復活
⇒これに伴い「検討すべき2つのシナリオ」も復活へ
シナリオ①:(大幅上昇し152円台を示現した場合)2023/1/16(127.22円)を起点とする長期的な上昇(トレンド)は、同11/13(151.92円)で一旦上昇波#1’を終え、同12/28(140.24円)で調整波#2’を形成。このケースでは『新たな上昇波#3』を構築中ということになる(⇒目標値165円?)
シナリオ②:(速度調整局面入りから21MAを目指す推移となった場合) “調整波B?”は確定し「“調整波B(反発)⇒調整波C(下落)”開始」の可能性がある(⇒ 目標値=少なくとも140円以下?)
<<エリオット波動理論では「下降波(C)は下降波(A)の下値(140.24)を下回る」ことで完成するため>>> 今後6か月間の想定レンジ = 138.45~152.70 ⇒ 138.45~154.65 =
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:超長期上昇トレンドは足許の中短期下落トレンド後に再開
◆想定通り昨年12月は一昨年12月以来の大幅な陰線を形成し、1年をかけたダブルトップ形成を確認
◇しかしながら、年明け以降1-2月の急反発や3月急落後の先週の反発によって(超)長期的な上昇圧力の根強さにも目立った変化は見られない
>>>➊➋でも言及した通り「中短期の時間軸が示唆する方向性は相反」しているため、長期時間軸と併せて非常に“不透明”な状況。ただ、今週(今月)には今後の方向性が見えて来よう
>>>従前から、我々は「(数年単位の)超長期上昇トレンドが本格化する前に『中長期的下落トレンドに入る』可能性が高い」をメインシナリオとしていた
●繰り返しとなるが、その根拠は主に以下の3点(チャートは2018年11月からの推移)
<=2022年10月は「20MA+18%と60MA+30%を同時に上回る」という現在の変動相場制移行後一度たりとも経験したことのない「異常な(上昇の)過熱状態」にあった
<=一時90超まで過熱したRSIは、一旦70.1まで再上昇も足許でゆっくりと低下(先週末62.0)
=>超異常状態からの反落だけに20MA突破から60MAに向けた軟化/下落を見込んでいた
>>> 今後1年間の想定レンジ = 138.45~155.55 ⇒ 138.45~155.55 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
□先週の日米金融市場は「金利上昇・株価軟弱・USD円急反発」(下表右端)
●米国:「債券利回り上昇」を受け「株式市場は弱含み」・「USD上昇」
●日本:「長期債利回りの上昇」を受け(USD円急反発にも拘らず)「株価は大幅続落」
◇米国の相対的に大幅な金利上昇により「USD高/円安が急速に進展」
【米国】週間の変化
□主な経済指標:インフレ指標は予想比上ブレも、景況感は概ね軟弱
・米2月 消費者物価指数(前年比):+3.2%(予想:+3.1%)
・米2月 消費者物価指数(食品・エネルギー除く、前年比):+3.8%(予想:+3.7%)
・米2月 小売売上高(前月比):+0.6%(予想:+0.8%)
・米2月 小売売上高(食品・自動車・建材・ガソリン除く、前月比):+ 0.0%(予想:+0.4%)
・米2月 卸売物価指数(前年比):+1.6%(予想:+1.2%)
・米2月 卸売物価指数(食品・エネルギー除く、前年比):+2.0%(予想:+1.9%)
・米3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数:▲20.9(予想:▲7)
・米2月 鉱工業生産(前月比):+0.1%(予想:±0.0%)
・米3月 ミシガン大学消費者信頼感指数:76.5(予想:77.1)
◇債券利回り:上記インフレ関連指標の予想比上ブレによりFRBによる「利下げ開始時期の後ズレ」と予想される「年内の利下げ回数の減少(3回⇒2回)」を受けほぼ3週ぶりの水準へ上昇
>10年債利回り:3/8 4.075% ⇒ 3/15 4.306%(前週比+0.231%上昇)
> 2年債利回り:3/8 4.474% ⇒ 3/15 4.728%(前週比+0.254%上昇)
=>10年-2年の逆イールドは「▲0.422%へ前週比で若干拡大」(下表)
◇先週の米要人発言~「サマーズ元財務長官の発言要旨」(いずれもタカ派的との評価多し)
・「米FRBは中立金利の水準を大きく見誤っている(≒もっと高い)」
・「結局年内に政策金利を引き下げない可能性が高まっている」
>>>週末の政策金利先物市場では利下げ開始時期は6月が57%に低下(3/11には71%)。更に上ブレ気味のインフレ関連指標を織込み年内の利下げ回数は2.88回と昨年12月FOMC時点での予想中央値を若干下回る水準に低下
□株式市場:主要3指数共に揃って軟弱な展開の中小幅に続落
◆既述の市場金利上昇を受け、AI・半導体関連の株式に売り目立つ
【日本】週間の変化
□主な経済指標:予想比上ブレ
〇日2月 企業物価指数(前年比):+0.6%(予想:+0.5%)
◇マイナス金利解除に向けた前向きな発言・報道が多数:以下ごく一部抜粋
・「日銀、マイナス金利解除で調整 高水準賃上げ、物価2%実現に自信―連合集計踏まえ最終判断」(時事通信)
・「日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定」(共同通信)
・「(2%物価目標の)実現が見通せる状況に至ったら、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールなどの大規模緩和策の修正を検討していくことになる、春季労使交渉の動向は大きなポイント」(植田総裁@3/13の参院予算委員会にて)
>>>しかしながら、為替市場の反応は円買いUSD売りに消極的
>>>むしろ、既述の3/19~20開催のFOMCで、四半期に一度公表されるFF金利見通し・中央値が前回の年内3回利下げから2回に減少するとの見通しが強まり、日米金利差拡大観測からUSD買いが続いた
◇債券利回り:週間では長期が上昇
> 2年債利回り:3/8 0.195% ⇒ 3/15 0.189%(前週比▲0.006%低下)
>10年債利回り:3/8 0.730% ⇒ 3/15 0.785%(前週比 +0.055%上昇)
◇主要株価指数:長期金利上昇/米株安から(円安にも拘らず)揃って大幅に下落
>TOPIX:前週末比▲2.05%安(7週ぶりの下落)
>日経平均株価:前週末比▲2.47%安(2週連続の下落)
□USD指数は前週の5週ぶりの大幅下落から急反発
<<< インフレ指標の予想比上ブレに加え、FRBの「利下げ後ズレ観測」が加速
⇒ 円は対USDで大きく反落、前週までの2週連続上昇分の68%を先週だけで失う
<テクニカルには「中期USD下落トレンドを経て、超長期のUSD高/円安トレンドへ移行」という、ひと月ほど前の我々のメインシナリオに基づいた見通しに回帰する可能性が高まりました。ただ、それを確認する意味でも、“天王山”を翌週に控えた今週の推移・終値は極めて重要な意味を持っています> ~先週のこの部分の冒頭~
テクニカルでも言及しましたが「わずか1週間で<テクニカルには(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面を迎えており、今後数週間の推移はまさに『刮目が必須』>と再び2週前の悩ましい状態に戻って」しまいました。お恥ずかしい限りですが「ポイントとなる移動平均線などを(一旦)抜けても『複数連続の推移をもって“確認”』としてきた我々のスタンスはやはり堅持する必要がある」ことを再認識した次第です。
テクニカルには、以下を主因に「中期トレンドの方向性が再び不透明になってきた」としました。
◇短期的視座では『上昇継続』を示唆する要因が強いインパクトを持っていること
◆中期的視座では『依然下落余地が大きい』との示唆が強いこと
こうした異なる時間軸での相反する示唆はよくあることですが、単純に「短期的に上昇して、その後中期的に下落する」と安易に合成することは今回の場合「かなり難しい」と考えています。
なぜなら、短期的にせよ上昇に弾みがついた場合、過去1年半でダブルトップを形成した水準(151.90円台)を上抜けし「中長期的な上昇トレンド入り」となる可能性が極めて高いからです。これが示現すると中期的に下落に転じる可能性はほぼ無くなると考えられます。だからこそ、<テクニカルには(超)長期的判断に大きな影響を与えそうな極めて重要な局面を迎えており、今後数週間の推移はまさに『刮目が必須』>としていたわけです。
一方、ファンダメンタルズ面でも今週は既述の通り『天王山』としてきた日米中央銀行WEEKであり、当然ながらこれら重要イベントには市場の関心が集中していると思われます。
日本:日銀政策決定会合(3/18~3/19)
〇各種報道にある通り、マイナス金利解除とYCC撤廃が決定される見通し
>>>(政策金利を反映し易い)2年国債利回りが13年ぶりに一時0.2%台まで上昇するなど、事前織り込みがかなり進んでいることから、3/19の決定後の市場の反応は限定的なものに止まる可能性あり
>>>市場の関心は、今後の利上げの経路に移ってきている?
>>>打ち止め感を出すと円安が進行してしまう恐れもあるため、ある程度「金融政策の正常化に向けた取組み(含む:追加利上げ)に前向き」との姿勢を示すものと予想される
因みに、直近で最後の利上げとなった2007年2月の(同会合の)声明文では『金融・物価情勢の変化に応じて、徐々に政策金利の調整を行うことになると考えられる』と謳われましたが、今回も同様のニュアンスでの声明文となるのではないでしょうか。
米国:連邦公開市場委員会(FOMC)(3/19~3/20)
〇新たに示される「ドットチャートで年3回利下げの見通し(中央値)が修正されるか否か」が焦点
>>>昨年12月の段階で『2024年末のFF金利を4.625%と予想した6名』のうち、2名が(通常の政策変更1回分)0.25%上方修正すると、(他は変わらないとの前提では)中央値が4.875%に上昇し、年内2回の利下げ見通しに修正されることとなる
>>>米政策金利先物市場では、先週末時点で年内2.88回の利下げ織り込みとなるなど、利下げ期待の修正はかなり進んでいると見られる
>>>ただし、実際に年内2回の利下げ見通し(中央値)に修正された場合は長・短金利の上昇余地は残存
市場では、今回で5会合連続の政策金利据え置きが確実視されています。しかし、かつて当レポートでも取り上げた『資産圧縮(QT)ペースの減速』を巡る不透明要素もあるため、今回のFOMCは市場への影響という意味で『波乱含みの会合』と言えるかもしれません。
このように日米の金融政策の見通しを巡る不確実性から、金融市場では「内外の金利・為替、そして株式市場の変動率が高まりやすい」状況にあると考えられます。そういえば、パウエル米FRB議長が3/6~3/7の半期に一度の議会証言でこう言っていたことを思い出しました。「年内いずれかの時点で利下げが適切」との見解を披露した後、「インフレについては物価目標2%への回帰にコミットしている」と述べつつ、「これまでよりも良いインフレ指標を求めているわけではなく、ただ(利下げへの確信が)持てるように、多くのデータを求めているだけだ」と。
今週は、個人的な事情で週後半から金融市場に直接コミットできないという特殊な事情もありますが、上記を念頭に、極端な予断を持つことの無いよう各金融市場に対峙したいと考えています。
お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心とした見通しについては、ジーフィット為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方はサイト内で、是非ご参照下さい。
なお、安田氏のレポートをご覧になれない方のために、氏のレポートから図表を幾つかご紹介する承諾を得ましたので、最後にご案内させて頂きます。以下は、全て今週の安田氏によるウィークリーレポートより抜粋したものです。
<しかし、ウォール街の一部では「足元のインフレ鈍化がまやかしに終わり、1970~80年代のようにインフレが再燃するのでは」との見方も根強い。米2月PPI等のインフレ指標の再加速は、そうした悪夢の再来を示唆しているようでもある。>
チャート:1970~80年代型のインフレ再燃、時を超えて再現もあるか?
長い間「ディスインフレが普通」だった金融環境に、インフレという事象面でのパラダイムシフトが起きているとすれば、このチャートの示唆するところは大きな意味があるのかもしれません(吉岡注釈)
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