―Executive Summary―
- ドル円の変動幅は1月5日週に2.07円と、その前の週の1.26円から拡大した。前週比では、1.10円の上昇と続伸。年初来では0.7%高となる。米12月雇用統計を前に小動きが続いたが、米25年10月貿易赤字が予想外に縮小し、米25年Q4実質GDP成長率が加速する期待が強まると、ドル円は上値を目指す展開。米12月雇用統計はまちまちとなったものの、高市首相が23日の通常国会召集で解散を検討と報じられるとドル円は急伸し、2025年1月以来の158円乗せを迎え、一時158.19円まで切り上げた。
- パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、FRB本部改修費25億ドルに関する2025年6月の議会証言につき、米司法省が大陪審召喚状を送り刑事訴追を警告したことを明らかにした。トランプ政権メンバーは、パウエル氏の証言内容が偽証罪に問われる可能性を指摘。FRBが改修費はFRBの自己資金で税金は使われていないものの、足元の赤字により国庫に余剰金を納付できていない事情も、批判を招いた一因となっている。もっとも、偽証罪の立証も困難で、訴追に踏み切ればFRBの独立性を揺るがし、市場混乱を招く恐れがあるため、実際の刑事告発の可能性は低いのではないか。一方、共和党内では次期議長人事への反対姿勢が強まり、政治的圧力がFRB運営に影響するリスクが高まる。
- 高市首相は、1月23日の通常国会召集に当たり、衆議院の解散を検討中と報じられた。高市内閣の支持率が直近のJNN世論調査で78.1%と極めて高水準にあるため、解散総選挙という伝家の宝刀を抜くシナリオが取り沙汰されている。もっとも、2026年度予算案の成立が4月以降にずれ込みかねない懸念があり、政策最優先を掲げてきた首相方針との整合性が問われている。解散の大義が見えにくいとの指摘も多く、中長期的には政権運営の火種となる可能性がある。仮に解散総選挙となれば、2000年以降、9回の衆院総選挙のうち、ドル円は解散日と投開票日の翌日の間で6回上昇。石破政権時の2024年秋には、8円超も急伸したこともあり、一段の円安が進行しかねない。
- ドル円のテクニカルは、非常に強い地合いが復活した。一目均衡表では三役好転が再び点灯。2025年10月6日、並びに20、21日の安値を結んだ高市総裁誕生後のトレンドラインも、ローソク足の実体部で上抜けた。週足ではダブルボトムを形成するが、ネックラインとなる2025年1月10日の158.88円を抜ければ、上値余地が広がる見通しだ。RSI(14日)は62.8であり、割高の節目である70にまだ距離を残す。
- 1月12日週の主な経済指標は、13日に日本11月貿易収支と米12月CPI、14日に中国12月貿易収支、米11月小売売上高と生産者物価指数(PPI)を予定する。15日に日本12月国内企業物価指数、米新規失業保険申請件数、米1月NY連銀製造業景況指数、米1月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米11月輸入物価指数、16日に米12月鉱工業生産が控える。
- その他、政府・中銀関連では、12日はG7財務相会合(レアアース供給について協議)、アトランタ連銀総裁やリッチモンド連銀総裁の発言、13日は李在明韓国大統領の訪日(14日まで)、NY連銀総裁やリッチモンド連銀総裁、セントルイス連銀総裁の発言、14日は城内経財相会見、NY連銀総裁、アトランタ連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁の発言、米地区連銀報告(ベージュブック)の公表を予定する。15日はメローニ伊首相の訪日(17日まで)、アトランタ連銀総裁とリッチモンド連銀総裁の発言、16日に片山財務相の会見とジェファーソンFRB副議長の発言が控える。
- 以上を踏まえ、今週の上値は心理的節目の159.50円、下値は21日移動平均付近の156.40円と見込む。
1.ドル円振り返り=米貿易収支と衆院解散報道でドル円急伸、一時は24年1月以来の158円乗せ
【 1月5~9日のドル円レンジ:156.12~158.19円】
ドル円の変動幅は1月5日週に2.07円と、その前の週の1.26円から拡大した。前週比では、1.10円の上昇と続伸。年初来では0.7%高となる。米12月雇用統計を前に小動きが続いたが、米25年10月貿易赤字が予想外に縮小し、米25年Q4実質GDP成長率が加速する期待が強まると、ドル円は上値を目指す展開。米12月雇用統計はまちまちとなったものの、高市首相が23日の通常国会召集で解散を検討と報じられるとドル円は急伸し、2025年1月以来の158円乗せを迎え、一時158.19円まで切り上げた。
5日のドル円は買い優勢を経て、上げ幅縮小。年明け早々ゴトー日を迎え東京時間の仲値にかけ買いの勢いが強まり、157円台を回復した。日経平均が1,000円以上も急伸するなかで、一時157.30円まで本日高値を更新。ただし、その後は上げ幅を縮小し、NY時間には米12月ISM製造業景気指数が約1年ぶりの低水準だったため、156.12円まで本日安値をつけた。
6日のドル円は、もみ合い。前日に続き、東京時間の仲値にかけ買いが強まり、一時156.80円まで本日高値をつけた。もっとも、その後は上げ幅を縮小しロンドン時間には一時156.16円まで本日安値を更新。中国商務省は本日、軍民両用品の日本への輸出を禁止すると発表したが、ドル円の影響は限定的で、NY時間に買い戻しが入るも東京時間の序盤につけた本日高値には届かなかった。
7日、ドル円は引き続き小動き。東京時間に156円後半での推移を経て、ロンドン時間入りに一時156.29円まで本日安値を更新した。NY時間に米12月ADP全国雇用者数と米12月ISM非製造業景気指数が市場予想を上回ると買いが入ったものの、一時156.81円まで本日高値を更新するにとどまった。トランプ大統領が大手金融機関などによる一戸建て住宅購入を禁止する方針を発表したほか、エネルギー大手企業の配当・自社株買いを認めないと見解を示したことが米株の重石となり、ドル円にも影響した。
8日、ドル円は買い優勢。東京時間に発表された日本11月実質賃金が予想以上にマイナス幅を広げ、日銀の利上げ観測が後退し買いが入ったが、157円には届かず。もっとも、NY時間に発表された米新規失業保険申請件数が堅調だったほか、米11月貿易赤字が大幅に縮小し米Q4実質GDP成長率が純輸出に支えられ大幅加速するとの観測から、買いが強まった。157円台を回復し、一時157.07円まで本日高値をつけたが、米12月雇用統計を控え大台を割り込んでNY時間を終えた。
9日、ドル円は大幅上昇。東京時間から右肩上がりで上昇し、軽々と157円を超えてロンドン時間序盤に157.70円台をつけた。NY時間で発表された米12月雇用統計・NFPが市場予想以下にとどまり、過去2カ月分も下方修正されると、一旦156.30円台へ下落。もっとも、高市首相が23日の通常国会の冒頭で衆議院解散を検討との報道を受け、ドル円は急伸。2025年1月以来の158円を突破し、一時158.19円まで上値を広げた。
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